宇都宮市内などで10月28日に発生した雷雨で、栃木県中央公園にあるユリノキ並木の1本に雷が落ちた。木の幹には裂け目ができ、隣接する県立博物館の友の会が写真をX(旧ツイッター)に投稿したところ、2日間で約14万回の閲覧があるなど注目を集めている。投稿に興味を持った東京の樹木医が現地調査した結果、裂け目は根元から幹の上部にかけて約8メートルにわたることが確認された。
同公園管理事務所によると、ユリノキは公園東側の沈床池(ちんしょういけ)近くに計67本が並木として植えられている。
落雷は28日午前10時過ぎにあり、園内を車で巡回していた同事務所職員佐藤春日(さとうかすが)さん(28)は「大きな破裂音とともに空を斜めに走る稲光を見た」と言う。1時間半後、別の職員が木の幹の傷を発見した。
これを知った友の会の専務理事山崎晃(やまざきあきら)さん(63)が傷ついたユリノキの写真を撮影。29日にXへ「雷のパワーすごいです」とのコメントとともに投稿したところ注目を集めた。山崎さんは「雷の爪痕に驚き、反響にもっと驚いた」と話す。
投稿に、東京都狛江市で造園会社を営む樹木医先崎洋二(せんざきようじ)さん(45)も関心を持った。「落雷直後の木を見られる機会は少ない」と30日に現地を訪問。同事務所の許可を得て木に登り、幹の状態を調べた。
その結果、裂け目の長さは約8メートルで、地表から13メートルと16メートルほどの樹皮にも焦げ跡などがあることが分かった。傷がある部分の幹の反対側に裂け目もあったため、先崎さんは「雷は幹を貫通した可能性がある」と見ている。「平地の並木の1本に落ちたケースは初めて見た」と珍しがった。
Xの投稿を受け、同公園近くの住吉保育園の園児は31日にユリノキを見学。木を見上げ「本当に雷のあと?」「長~い」と歓声を上げた。年長鳥塚(とりづか)さくらちゃん(6)は「木が痛そう。早くよくなるといいな」と話した。
同事務所は「今後、樹木に影響が出るのか注意深く見守りたい」としている。