青森県の1等米比率68.9%、過去10年で最低 記録的猛暑で高温障害 9月末時点

本年産「まっしぐら」の初検査のあとJA米の認証マークを押す係員。出品された2520キロ全量が1等に格付けされ関係者は安堵の表情を見せていたが…=9月12日、十和田市内の低温倉庫

 東北農政局青森県拠点は31日、青森県の2023年産米の検査結果(9月末現在、速報値)を発表した。米粒の形や色などが一定の基準を満たし高値で取引される「1等米」の比率は68.9%で、前年同期の92.2%を23.3ポイント下回り、過去10年間で最も低い値となった。記録的猛暑により、コメが白く濁る「白未熟粒」などの高温障害が発生し、品質低下を招いた。

 等級別は2等米が29.8%(22.7ポイント増)、3等米が1.2%(同0.6ポイント増)。落等(2等以下)になった理由は白未熟粒などの形質が72.2%と最多だった。カメムシの被害などによる着色粒が21.6%と続いた。米粒にひびが入る「胴割れ」などの被害粒は4.4%。

 品種銘柄別の1等米比率はまっしぐらが70.9%、(同20.9ポイント減)、つがるロマン61.0%(同30.0ポイント減)、青天の霹靂(へきれき)55.8%(38.9ポイント減)、はれわたり65.7%(32.0ポイント減)と軒並み下落した。

 同拠点や県農産園芸課によると、県内では出穂期の7月下旬以降に高温が続いたことで、実に十分な栄養が行き渡らず白未熟粒が多発。青森県ではこれまで冷害による等級低下はあったものの、猛暑でこれほど1等米比率が低迷するのは初めてという。近年は10年産米も高温の影響を受けたが、当時の9月末現在の1等米比率は75.2%だった。

 同拠点の担当者は「高温による白未熟粒の発生は、今までは青森県では考えられなかった。それほど今年は特別な暑さで、1等米比率もまれに見る低水準となった」と話した。

 主食用米として使われる「水稲うるち玄米」の9月末時点の検査数量は10万2485トン。猛暑で生育と刈り取りが大幅に早まったことで、前年同期の約2.7倍となった。予想される最終検査数量から見た進捗(しんちょく)率は半分程度という。東北農政局は11月末にも最新の1等米比率を公表する予定。

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