地震も水害も…あらゆる災害に備えた志木市の新庁舎、2023年度グッドデザイン賞に 市庁舎の受賞は埼玉初

グッドデザイン賞を受賞した志木市役所。玄関前のグラントテラスなどが評価された=埼玉県志木市中宗岡1丁目

 昨年7月に開庁した埼玉県志木市の新庁舎が公益財団法人「日本デザイン振興会」(内藤広会長)主催の2023年度グッドデザイン賞を受賞した。市民らが広場として活用できる1階玄関前のグランドテラスや水害など災害対策に強い構造などが評価された。市によると、県内の公共施設では春日部市の県合同庁舎とさいたま市の大宮区役所が受賞しているが、市庁舎が受賞するのは初めてという。

 同市庁舎は鉄筋コンクリート造り地下1階、地上4階。1階に福祉や保育、総合窓口など市民活動に直結する主要窓口を設置したほか、市民が交流や活動できるホールを開設。玄関前には約1700平方メートルのテラスを整備し、各フロアにも南側にテラスを設置している。

 また、南側に吹き抜けを設け、自然の風を取り込み、快適な空調を維持することで、環境負荷の低減と省エネ化を促進。新河岸川と柳瀬川の合流地点に建設されていることから、免震構造で、地下に雨水タンク、4階に電気室を整備し、浸水被害などあらゆる災害に備えている。

 グッドデザイン賞は、新しいデザインの発信や人材育成などに取り組んでいる同振興会が美しさだけでなく、産業の発展や暮らしの質を向上するデザインを身の回りのさまざまな分野から見出し、広く伝える目的で毎年公募。23年度は約5500件の応募があり、約1500件が受賞した。

 同賞の審査委員会は受賞理由について「イベント時、市民がここで計画された広場へ集まっている風景にとてもうれしくなる思いがした。各フロアごとテラスの深い軒下は人がたたずむ場所となり、広場に向かう様はまさに劇場の客席のようだ。市民がここで集まった体験は災害時にも有効であろう」としている。

 市の香川武文市長は「とてもうれしく思う。市役所をランドマークと位置付けながら、グランドテラスを活用したにぎわいづくりなど職員一丸となって魅力あるまちづくりを展開していきたい」とコメントしている。

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