青森県病、市民病院統合 基本計画「2024年度末までに」 有識者会議座長が見解

統合新病院の整備について意見を出し合う有識者ら

 県立中央病院(青森市東造道)と青森市民病院(同市勝田)の統合新病院整備を巡り、従来の検討内容見直しに向けた有識者会議が31日、県庁で第1回会合を開いた。座長に就いた福田眞作弘前大学学長は、県と市が2023年度中を目標としている統合新病院の基本構想・基本計画策定について「日程が厳しく、不可能。遅くとも24年度末までには、きちんとしたものを県民、市民に示したい」との考えを語った。

 有識者会議は、医療や都市計画、防災の学識経験者、県内の医療・救急関係者、地域住民や患者団体ら14人のメンバーで構成し、基本構想・計画への助言を行う。県と市の幹部らによる調整会議が、有識者会議の意見を踏まえて構想・計画案を取りまとめ、県議会と市議会での議論やパブリックコメントを経て策定となる。

 会議では、全国自治体病院協議会県支部の丹野弘晃支部長が「県民、市民の関心が高く、議会にも丁寧に説明することになる。23年度中の計画策定は厳しく、もう少し時間をかけてもいいのではないか」と意見を述べた。福田座長は会議終了後の取材に「医療従事者、県民や市民がしっかり納得できた形で着工に向かうのが理想的」と慎重な議論の必要性を強調。併せて「事業の進行は、早い時期を目指して進めるべきだ」と話した。

 事務局は、有識者会議で検討が必要な項目として▽開院時期▽地域医療構想を踏まえた病床機能・病床数▽県内の地域医療を支える仕組み-を提示。メンバーからは、救急医療、大学病院との連携、青森地域保健医療圏内での協力を検討項目に加えるよう提案があった。今回出た意見を基に、基本構想・計画の策定目標を含め、事務局があらためて内容を整理する。整備場所は、市が別に設置する検討会議が協議し、県と市の有識者会議に案を示す。

 会議の冒頭で、宮下宗一郎知事は「オープンな形で、病院の統合や全県の医療体制再編について議論を進めていただき、出た結論は責任を持って、青森市長とリーダーシップを持って進めていきたい」と述べた。西秀記青森市長は「有識者会議は、専門的・多角的に意見をいただける貴重な場。意見を踏まえて、県と市がお互いに納得できる、歩み寄れるものをつくり上げていくことが大事」と語った。

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