阪神ファンの声援は「ブルドーザー」レベル 惜敗でも熱狂の甲子園、最高潮に達した瞬間は…

8回、守備に就く森下翔太選手に声援を送る阪神ファン=10月31日夜、甲子園球場(撮影・山崎 竜)

 阪神とオリックスによるSMBC日本シリーズ2023第3戦は31日、9年ぶりに甲子園球場で開催された。敵地に乗り込んだオリックスファンの声援も大きかったが、ホーム阪神ファンのボリュームはものすごかった。手元のスマートフォンに騒音計アプリをダウンロードして計測すると、迫力は数字の上でも明らかになった。

 計測はバックネット裏の記者席で実施した。厳密な調査ではなく、あくまでも虎党の熱量を推し量る試みの一つと捉えていただきたい。

 阪神の応援を「すさまじい」と感じたのは4点を追いかけた七回裏、ルーキー森下翔太選手がライト前にタイムリーを放った瞬間だった。地鳴りがするほどの声援に驚き、とっさにアプリを用意した。

 試合は八回終了時点で、4-5でオリックスの1点リードとなっていた。

 九回表、オリックスの攻撃から計測を開始した。オリックスファンはレフト上段の一角を占め、三塁側アルプス席でも阪神ファンに交じって手拍子する姿がみられた。客観的に聞いて、アウェーとしては十分聞き応えのある応援を展開していた。

 手元の数字は平均74.8デシベル。騒音の指標に照らすと、「うるさい」とされる「2メートルの距離で聞くセミの鳴き声」レベルという。もっとも、オリックスの攻撃で最大値を示したのはオリックスファンの声援ではなかった。森友哉選手から阪神の桐敷拓馬投手が三振を奪った場面で、95.6デシベルに及んだ。

 九回裏、阪神が1点を追いかけた場面では、打席に誰もいないうちから平均値は82.9デシベルを数え、代打・原口文仁選手が四球を選ぶと96.8デシベルを記録した。もはや「フードミキサー」のレベルという。

 森下選手が四球を選び、2死一、二塁の場面で大山悠輔選手が打席に立った。チャンステーマの「わっしょい、わっしょい」のコールに90デシベルを超えっ放し。サヨナラ勝ちならどんな値になるのか-。

 しかし、最後はマウンドのベテラン平野佳寿投手が一枚上回った。空振り三振に倒れ、甲子園は虎ファンの悲鳴に包まれた。騒音レベルは九回の表裏を通じて最高の98.6デシベル。「きわめてうるさい」とされる「5メートルの距離でブルドーザーの音を聞く」レベルに達していた。

 日本シリーズは、きょう1日も甲子園で第4戦が予定されている。ブルドーザーの次は果たして。(鈴木雅之、小野坂海斗)

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