ルイス・ディアス父親誘拐事件に進展 現地警察が容疑者2人を特定

写真:母親のマルランダさんは解放されたが、父親の行方は分かっていない ©Getty Images

10月下旬、リヴァプールに所属するコロンビア代表FWルイス・ディアスの両親が母国で何者かによって誘拐される事件が発生した。母親のシレニス・マルランダさんはその後、解放されたが、父親のルイスさんはいまだに拘束されており、行方が分かっていない。そんな中、コロンビア警察が誘拐事件の実行犯である4人のうち、2人を特定したという。イギリス『ザ・ガーディアン』電子版が伝えている。

同メディアによると、ルイスさんの捜査はカリブ海に面し、隣国ベネズエラと国境を接しているラ・グアヒラ県全域で行われているという。コカインなどの密輸品や、それらを密輸する武装集団の温床となっている地域だ。国境地帯に広がるペリハ山脈の捜査にはコロンビア治安部隊から少なくとも200名の隊員が動員され、エリート地上部隊や上空から捜査するためのパイロットも含まれているという。

誘拐犯はルイスさんをコロンビア当局の手が及ばないベネズエラへと連れ出す可能性もあるが、コロンビア国家警察の副長官であるアレハンドロ・サパタ将軍は記者会見で次のように語っている。

「この山(ペリア山脈)を徒歩で超えるのは容易ではないが、ルイス氏を国外に連れ出すことが誘拐犯の目的だと考えられる。現時点ではルイス氏が国境を越えたことを示す証拠はない。カラカスにあるインターポールのオフィスにも協力を仰いでいるが、ルイス氏が出国したという確証は得られていない。国外に出たことを肯定することはできないが、否定することもできない」

ベネズエラは近年、国内経済が崩壊し、一部のゲリラ集団が軍と共謀して金の採掘や麻薬密輸などの違法行為を行うなど、武装勢力の“天国”と化している。コロンビア国内で強盗や恐喝行為を行うマフィアもいるため、コロンビア治安部隊はベネズエラの法と秩序の欠如に起因する犯罪組織の急増について事あるごとに非難している。

ルイス・ディアスに対しては所属するリヴァプールが全面的にサポートする姿勢を見せているが、コロンビア代表のチームメートであるMFハメス・ロドリゲスも自身のSNSで「フットボールのゲームよりももっと大切なものがある。こんな社会で生きなければならないなんて。ルチート(ルイス・ディアスの愛称)、僕たちは君とともにいる」と激励のメッセージを送っている。

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