福井県総合美術展2023開幕、日本画や書道471点を展示 11月15日まで福井県立美術館

感性豊かな作品が並ぶ福井県総合美術展=11月1日、福井県立美術館

 福井県内最大の総合公募展、第74回福井県総合美術展が11月1日、福井県立美術館(福井市文京3丁目)で開幕した。日本画、絵画造形、彫刻、工芸、書道、デザイン、写真の7部門から入賞103点と入選368点を展示。若手のみずみずしい意欲作から、中堅やベテランの表現力豊かな作品まで、それぞれの世代の感性が競演している。

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 今年の知事賞の最年少は、書道の井上愛苑さん(29)=南越前町。杜甫の詩を書いた漢字作品「唐詩」は「紙の奥深くに言葉が染み入るように心がけた」という。強弱のメリハリを利かせた文字群が見ごたえ十分。

 彫刻の西井武徳さん(45)=福井市=は、雌のライオンの頭部を表した「vanishing point」で2年連続の知事賞。「素材である木の中からモチーフが姿を現して産声を上げる瞬間を捉え、彫る手を止めた」という作品の表面は、荒削りながら生命感にあふれる。9月には全国公募の新制作展でも最高賞に選ばれ、波に乗る中堅は「美術界で役割を果たせる人材になりたい」と前を見据える。

 若手の台頭や中堅の頑張りに負けじと、ベテランも気を吐いた。上野多美子さん(83)=南越前町=は、バスケットボールの練習後に充実の笑顔を見せる少年を描いた日本画「帰り道」で知事賞。「少年の一生懸命な姿に感動して描いた」という。ボールをいとおしそうに抱える表情が高く評価された。

 前期展は7日まで。8日休館。後期展(9~15日)は入賞作と会員(無鑑査作家)の作品、子ども展の入賞・入選作が並ぶ。

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