リニア工事の生態系への影響 静岡県が意見書を提出「留意点や課題点について十分な議論がされていない」 国の有識者会議の報告書案まとめに

リニア中央新幹線静岡工区の工事に伴う、生態系への影響を議論する国の有識者会議が9月26日、報告書案をまとめたことについて、静岡県は11月1日、「留意点や課題点について十分な議論がされていない」などとして、意見書を提出しました。

9月26日に行われた13回目の国の有識者会議では「工事前の自然環境を踏まえたうえで、論点ごとにモニタリングなどの措置を的確に行い、必要な見直しを行う『順応的管理』で対応することにより、トンネル掘削に伴う環境への影響を最小化することが適切である」などといった報告書案が出されました。

これを受け静岡県は11月1日、「予測とは異なる状況が生じることがある場合に備える手段であり、「不確実性の高いものに対し、評価とフィードバックを繰り返し、状況に合わせて適宜追加の対策を講じることに主眼を置いたリスク管理の考え方である」として、「工事着手前の生態系への影響予測をしていない現在の案では、JR東海が順応的管理を適切に実施できないことが懸念される」といった意見書を提出しました。

そのうえで、今後も十分に議論されないまま報告書が確定することになれば、国がJR東海の取組みに対して具体的な助言・指導などを行うことを目的として立ち上げられた有識者会議が、「当初の目的にそぐわないのではないか」とも指摘しています。

県は改めて、有識者会議において十分な議論をし、その結果を反映した国報告書を取りまとめるよう、強く求めました。

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