ウイグルの自由と独立のためともに闘う!|和田政宗 中国政府は「ウイグル人はテロリストでテロ組織に属している」という主張を展開し、「ウイグル人は中国国内において弾圧されていない」という世論工作活動を世界各地で展開している――。(サムネイルは日本ウイグル協会Xより)

中国大使館からの〝脅迫状〟

10月30日、31日の2日間、国際ウイグルフォーラム・各国国会議員国際会議が行われた。海外の国会議員約30人を含む学者やジャーナリストら25カ国から約200人が参加する世界大会で、日本では11年ぶりの開催となった。

世界ウイグル会議のドルクン・エイサ総裁も来日し、私は日本ウイグル国会議員連盟事務局次長として参加した。中国によるウイグル弾圧について最新の状況が報告され、その酷さは全く変わっておらず継続していることを確認、対中国で何をすべきかが議論された。

開会式では、日本ウイグル国会議員連盟の古屋圭司会長が挨拶のなかで、11年前の大会開催時に中国大使名で“脅迫状”が衆参両国会議員あてに届いたが、それを跳ね返して開催したこと等を述べた。当時、私はまだ参院議員になる前だったが、10年前の初当選時からウイグル問題に取り組んでおり、その“脅迫状”の内容や中国大使館からの脅迫についても先輩議員から聞かされてきた。

手元にある全文からその内容を明らかにすると、中国は世界ウイグル会議に対し「テロ組織」との事実無根のレッテルを貼り、世界ウイグル会議と接触しないよう要求している。

程永華・駐日中国大使の署名入りで送られてきた、“脅迫状”の内容を抜粋する。

『「世界ウイグル会議」は徹頭徹尾、中国の分裂を企む反中国組織であり、「東トルキスタン」テロ組織と緊密に連携している』

『ラビア(当時の世界ウイグル会議総裁)やドルクンなどが最近、日本でいわゆる「世界ウイグル会議」第4回代表大会を開こうと画策している。日本政府がこれを認めれば、それは中国の内政に対する干渉であり、中国の安定と安全利益を損なうだけでなく、日本自身の安全にも害がある』

『われわれは議員の皆さんがラビアおよびドルクンらの中国の分裂をはかる反中国および暴力テロの本質をはっきり見抜き、いかなる形でも接触せず、「世界ウイグル会議」に対し、いかなる支持もしないことを希望する』

世界各地で展開する世論工作活動

まさに、こうした“脅迫”を繰り返し、ウイグルの支援をする方々や国会議員や地方議員に対し中国は介入してきた。私は、立候補時からウイグル支援を明確にし、平成28(2016)年には仙台に当時の世界ウイグル会議のラビア・カーディル総裁をお招きし、講演会を開催した。

中国は私に対して初当選直後から、東北を管轄する在新潟中国総領事館から中国関連のイベントの案内状が送られてくるなど中国側から様々なアプローチがあったが、全て無視していたところ、こうした動きはしばらくしてなくなった。それを受けてのことか、程永華氏など歴代の駐日中国大使は、レセプション等で私と一緒になっても会釈程度で会話はしてこない。

台湾に対してもそうであるがウイグルの方々に対しても姿勢を絶対に揺るがせないことが重要である。その後も私は日本各地でのウイグルの方々を支援するシンポジウムで講師を務めたり、街頭活動に参加してきた。

昨年は、中国における政治犯とされる方やウイグルの方々からの「臓器狩り」について、2006年から調査・告発してきたデービッド・マタス氏と面会した。マタス氏はカナダ人弁護士で、政府の役職も歴任。カナダ元下院議員のデービッド・キルガ-氏とともにウイグル問題に取り組み、世界を動かすことに繋げた方である。この面会の際には、中国の臓器狩りの酷い実態を改めて確認した。

そして、今回の国際ウイグルフォーラムでは、例えば、「国境を越えた弾圧方法~反体制派の声を取り締まる中国の長い腕」と題したディスカッションで、中国における海外での工作活動を明らかにした。先述の“脅迫状”にあるように、中国政府は「ウイグル人はテロリストでテロ組織に属している」という主張を展開し、「ウイグル人は中国国内において弾圧されていない」という世論工作活動を世界各地で展開している。

東トルキスタンの自主独立がなるまで

この手法はいくつかの国も中国と同様に使っているが、こうした工作活動には絶対に乗せられてはならない。

それは今後、中国が台湾侵略を試みた場合に同様の工作活動が懸念されるからである。中国国内の沿岸の都市や台湾内で騒乱を起こし、中国は「台湾独立勢力が引き起こしているもの」とし、テロ防止、治安維持という名目で台湾への侵略につなげるだろうという見方は、軍事やインテリジェンスの専門家の中で共有されている。

さらに、「ウイグル人のアイデンティティと帰属を根絶するために、ウイグル女性と子供に対して、行われる中国の性暴力の実態」をテーマに、中国による人権蹂躙について議論し、「立法措置を通じたウイグル強制労働との戦い」等のテーマでは、各国の取り組みについて認識を深めた。

米国は特にトランプ政権以降、強く取り組みを進めており、ウイグル人権法、ウイグル強制労働防止法などが成立している。今回の国際フォーラムにも、米国はレイモンド・グリーン駐日首席公使、国務省のスコット・バズビー民主主義・人権・労働局副次官補などが参加した。

我が国では、強制労働や人権弾圧によって生産された商品を排除するため、政府調達においては、昨年9月に関係府省庁連絡会議で決定された『責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン』の遵守を企業に求めているが、法整備には至っていない。日本はウイグルの人権弾圧を中国にやめさせるため、米国と同様の法整備や、制裁をはじめとした強い対応を取るべきである。

今回のフォーラムでは、来日した世界ウイグル会議のドルクン・エイサ総裁と何度も固く握手を交わし、ウイグルの自由と独立のためともに闘うと約束した。私はどんな中国の圧力や工作があろうとも絶対に屈することはない。侵略されたウイグル国家である東トルキスタンの自主独立がなるまで、ともに闘っていく。

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和田政宗

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