【ブータン】ブータン日本週間、現地で親睦深める[社会]

文化交流を通じて親睦を深めた鈴木大使(右から2人目)とブータンのワンチュク国王(同3人目)=10月27日、ティンプー(ブータン王室提供)

在インド日本大使館(ブータン兼轄)は10月27~31日、ブータンの首都ティンプーで「ブータン日本週間2023」を開催した。初日夜は、国際協力機構(JICA)によるブータン海外青年協力隊の派遣35年を記念した式典を開催。駐インド日本大使の鈴木浩氏とJICAの中村俊之理事長特別補佐があいさつした。式典にはブータンのジグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王が出席し、皇太子時代の談話を披露し出席者をなごませる一幕もあった。

ブータン日本週間2023は、在インド日本大使館とJICAブータン事務所、国際交流基金ニューデリー日本文化センターが共催した。

JICAが海外でボランティアとして働く青年海外協力隊をブータンに派遣して、今年で35年を迎えた。27日の記念式典でワンチュク国王は、「13歳の時にティンプーで開催されたJICAのイベントで、皇太子(当時)として初めて公の場で言葉を述べた。それ以来、日本人に親近感を感じている」と語った。

参加が一般開放された28日は、ブータン空手協会とブータン柔道協会がデモンストレーションを行った。日本大使館が代理となって、シドニーオリンピック柔道金メダリストの井上康生氏が理事長を務める特定非営利活動(NPO)法人JUDOsからブータン柔道協会に柔道着が手渡されたほか、日本サッカー協会(JFA)からブータン・サッカー連盟にサッカーボールやスポーツウエアが贈られた。

日本サッカー協会はJICAの協力隊とも連携し、ブータンには08年を皮切りに日本人指導者をこれまで8人派遣した実績がある。

■音楽と食でも親善交流

音楽を通じた交流もあった。ティンプーのペルキルスクール(私立、小中学校に相当)が、口や鼻、のどの発話器官を使って音楽をつくり出す「ビートボックス」とリコーダーで、南アフリカ発の「ジェルサレマ」(祈りの歌)とシンガー・ソングライター、藤井風さんの楽曲で海外でも人気の「死ぬのがいいわ」を演奏した。

日本からは津軽三味線の音色を届けた。三味線奏者の永村幸治さんと杉山大祐さんが現地を訪れ、「津軽じょんから節」と、ブータンでも人気のアニメ映画「すずめの戸締まり」の主題歌「すずめ」やテレビアニメ「鬼滅の刃」の主題歌「紅蓮華」などをアレンジして演奏した。

ブータンでは祭事に酒でもてなす文化があり、コメや小麦、大麦などの穀物を発行させた醸造酒「シンチャン」や蒸留酒「アラ」が浸透している。日本酒との親和性も高いとみて、27日夜の協力隊派遣35周年の式典では、チョーヤ梅酒と油長酒造(ゆちょうしゅぞう、奈良県)がそれぞれ商品を提供した。

式典に合わせて、チョーヤ梅酒東南アジアの清水雄樹ディレクター兼最高執行責任者(COO)と油長酒造の山本長兵衛社長がブータンを訪れ、会場で日本の酒の魅力について説明した。ブータンの免税店では、チョーヤ梅酒の「ザ・チョーヤ・エクストラ・イヤーズ」を含む3種類、油長酒造の「鷹長」が購入できる。

祝いの席として、ティンプーの日本食レストラン、ハヤテ・ラーメン・レストランが巻きずしと吸い物を用意。巻きずしはベジタリアン向けに野菜巻きを提供するなど配慮した。

デモンストレーションを行うブータン空手協会の生徒ら=10月28日、ティンプー(在インド日本大使館提供)

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