【シンガポール】未来に向けたロードマップ公表[経済] より良い生活へ、7つの政策転換

シンガポール政府は27日、国の未来を形成するロードマップ「フォワード・シンガポール」を公表した=シンガポール中央部(NNA撮影)

シンガポール政府は27日、国の未来を形成するロードマップ(行程表)「フォワード・シンガポール(Forward SG)」を公表した。7つの政策転換を軸に国民がより良い生活を享受できるようにする。今後は政府予算の発表時などに施策の詳細を盛り込んでいく考えだ。

政府はフォワード・シンガポールの策定を22年6月に開始。20万人超の国民の意見を聴収し、関係各者と内容を詰めてきた。最終的に「活力のある包括的な社会」「公平かつ繁栄可能な社会」「レジリエント(強靭=きょうじん=性)で団結力のある社会」を国民が目指していることを確認した。

これらの実現に向け、「世代を超えて学ぶ」「全ての仕事を尊重し、報いる」「人生のあらゆる段階で家族を支援する」「高齢者の健康を支える」「困っている人を支援する」「共有した未来に投資する」「一致団結委して役割を果たす」の7つの政策転換を進めていく方針を示した。

雇用関連では「世代を超えて学ぶ」の下、中堅社員の再就職やスキルアップを支援する。政府系人材育成機関のスキルズ・フューチャー・シンガポール(SSG)のプログラムを拡充し、国民が休職して長期的な訓練を受ける際の手当を支給するほか、新たな資格取得をサポートする考えだ。

「全ての仕事を尊重し、報いる」では、技術教育研究所(ITE)の学費を負担するなどの施策により学生のスキルアップを支援。大卒など高学歴者とそれ以外の学歴者との賃金格差を縮める。企業や業界団体と協力し、多国籍企業で幹部の役割を担える人材の育成も促進する。

「人生のあらゆる段階で家族を支援する」では、育児休暇中の補助金増額や保育所の拡充などで子育て世代に対するサポートを強化。24年に発表予定の「柔軟な勤務形態に関する三者ガイドライン」と「国家メンタルヘルス・幸福戦略」を通じ、国民の心の健康や仕事と生活の調和も支援する。

政府は今年に入ってから、公営住宅の政策変更による供給の公平化や50代以上の労働者に対する助成金の支給決定など、一部で既にフォワード・シンガポールに盛り込まれた施策を打ち出している。今後数カ月あるいは来年以降の予算で、このほかの施策を公表していく計画だ。

ローレンス・ウォン副首相兼財務相は、「われわれは今、共に未来を築くためのロードマップを手に入れたが、これを具体的な行動、政策、結果につなげなければならない」と指摘。国民が一丸となって目標を達成していくことの重要性も訴えた。

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