勾留女性への「ブラトップ」差し入れ、京都府警が一転認める 弁護士「前例に。大きな意味」

容疑者の女性への差し入れが認められたTシャツ型のブラトップ

 京都府警が留置施設で容疑者に対し、シャツにブラカップを縫い付けた「ブラトップ」の着用を認めなかったことへ弁護士が抗議した問題で、中京署は1日までに、勾留中の女性(19)へのブラトップの差し入れを認めた。弁護士は「前例を作ることができた意味は大きい。容疑者や被告にとって最低限の人権が守れるようにしたい」と話した。

 中京署は、女性の弁護人の貴谷悠加弁護士(京都弁護士会)が、先月31日に差し入れたTシャツ型ブラトップについて、同日付で認めたと明らかにした。宮田浩明副署長は「差し入れを認めるということは、着用を認めるということ。本人の希望があれば、いつでも着られる状況」と話した。

 府警は、ブラトップについて「自殺に使われる危険」などを理由に着用を認めていなかった。今回認めた理由について、府警留置管理課の前田昭広次席は「個別具体的に判断し、伸縮性がそれほどなく、形状的に危険性が薄い」とした。

 貴谷弁護士によると、11月1日の接見で女性は「Tシャツ1枚で身体検査を受ける際、男性署員が立ち会っていた。胸の形が透けてしまい、ストレスが大きかった」と話したという。

 貴谷弁護士は「女性が胸を覆う下着を着用できず、『ノーブラ』で人と会うことを強いられるのは、嫌疑を掛けられているからといってあり得ない。『当たり前』の感覚に一歩近づけた」と強調。差し入れだけでなく、留置施設内での貸し出しや自費での購入を認めることも必要とした。

 女性は10月17日、大麻取締法違反容疑で府警に逮捕され、中京署に留置された。貴谷弁護士によると、同19日に女性にタンクトップ型ブラトップを差し入れたが、同署に断られた。着用を認めない府警に対して貴谷弁護士は20日付で、憲法で保障された人格権を侵害するとして、府警本部長などに書面で是正を申し入れていた。

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