【栃木】千塚小5年川上慶一郎(かわかみけいいちろう)君(11)はこのほど、医療用ウィッグ(かつら)の素材として髪を提供する「ヘアドネーション(ヘアドネ)」のため、3年生の時に伸ばし始めた髪を切った。切った31センチの髪4束分はヘアドネを行う大阪府のNPO法人に送る。「病気などで髪に悩みがある人が使ってくれたらうれしい」と達成感をにじませた。
川上君はテレビのニュースでヘアドネを知り、「自分でも社会に役立つことができるかも」と考え、髪を伸ばし始めた。髪を後ろで縛って生活してきたが、スポーツなどで汗をかくと髪が痛み、伸びにくくなった時期もあったという。
初対面の人に女の子と間違えられたり、事情を知らない人から男の子が髪を伸ばすことを理解されなかったりしたこともあったという。「一度決めたことは最後まで頑張ろう」と励ましてきた父親の智弘(ともひろ)さん(46)は「口に出さなくても、つらかったことがあったと思う。常に味方でいることを心がけた」と振り返る。
智弘さんと共に市内の美容室「サロンドリズ」を訪れ、2年半かけて伸ばした髪を切った川上君。さっぱりとした短髪になり「シャンプーを2回やらないといけなくて大変だった。短くなって風が冷たい」とほほ笑んだ。