中国禁輸で「先見通せず」不安のナマコ漁解禁 青森県内

水揚げしたナマコを荷さばき所に持ち込む漁業者=1日正午ごろ、平内町

 青森県内で1日、ナマコ漁が解禁された。当初は10月開始を予定していたが、主要な輸出先である中国が日本産水産物の輸入を禁止した影響で、1カ月ずれ込んだ。漁業者は漁のスタートを喜びつつ、「先が見通せない」と複雑な心境をのぞかせた。

 県産ナマコは多くが高級食材として中国に輸出されてきたが、禁輸措置を受け、ナマコ漁を行う県内各漁協が10月の漁を自粛。県漁連がその後、一定の需要が見込めると判断し、今月から漁を解禁した。

 平内町の清水川漁港では同日昼ごろ、箱眼鏡で海底をのぞき込んでナマコを取る「底見漁」の漁師らが次々と帰港。たるに詰まった新鮮なナマコを荷さばき所に持ち込んだ。

 平内町漁協清水川支所によると、この日のナマコは国内向けの生食用が中心。70代の男性漁師は「年金だけでは食べていけない。(収入源となる)漁ができて良かった」とほっとした表情を見せた。同日は10隻ほどが出漁し、計291キロを水揚げした。入札の結果、価格は例年比3~4割安だったという。

 今月後半から漁を始めるという船橋博孝さん(72)は「価格が下がった分は東京電力が賠償するというが、いつどのように行うか見通せない。今年は高水温によるホタテの被害が大きく、せめてナマコで(収入を得よう)と思っていたが…」とこぼした。

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