天橋立のまち、観光PRの「凄腕人材」抜擢 米国出身の41歳

コーディネーターに抜擢されたジェシーさん

 海の京都DMO(京都府京丹後市)の海外プロモーションマネジャーとして、府北部の観光地の海外発信や外国人観光客向けの観光コンテンツづくりに貢献する米国出身の男性がいる。昨年度には持続可能な観光地を目指す宮津市からコーディネーターに抜てきされ、「世界の持続可能な観光地Top100選」の選出へと導いた。

 京丹後市丹後町間人のジェシー・エフロンさん(41)で、2019年に同DMOに入社後、日本三景・天橋立や丹後ちりめん、酒蔵といった府北部7市町の観光資源を生かした約30の観光コンテンツを手がけてきた。

 2年前から世界持続可能観光協議会(本部・オランダ)の「100選」選出を目指していた宮津市が、助言役として白羽の矢を立てたのが経験豊富なジェシーさんだった。

 ジェシーさんは、同市をアピールする題材に上世屋地区で営まれている「藤織り」(府指定無形文化財)の伝承を選んだ。その理由として「伝統技術が持つストーリー性の豊かさ」を挙げる。

 起源が縄文時代にまでさかのぼる歴史の深さや、本格的な作業工程が稲刈りの後に訪れるという農作業サイクルとの相性の良さ、藤を伐採することで山の手入れにつながる合理性もあるためだ。

 協議会への書類作成にあたり、ジェシーさんはDMOの仕事で「藤織り保存会」と打ちあわせ、培った知識と、府や市が蓄積してきた文化的に保護するためのノウハウなどを組み合わせて提出。府内では京都市に続いて2例目となる選出へと導いた。9日にエストニアで開かれた授賞式では「文化の継承が経済振興と結びついている」と評されたという。

 ジェシーさんは16日、市役所で城﨑雅文市長に式の様子を報告し、「今ある観光地で10年後も同じ体験ができるよう、スローツーリズムに力を入れたい」と抱負を語った。

宮津市が「世界の持続可能な観光地Top100選」に選出され、サスティナブルコーディネーターとして貢献したジェシーさん(左)=市役所

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