野尻智紀と大湯都史樹がスーパーGTマシンとともに茨城県筑西市を訪問「視野が広がる手助けになれば」

 11月2日、スーパーGTのGT500クラスにARTAから参戦している野尻智紀と大湯都史樹が、2023年シーズンをともに戦ったマシンARTA MUGEN NSX-GTとともに、野尻の地元である茨城県筑西市にある生涯学習センター『ペアーノ』を訪問し、地元の小中学生計600名を招待して実物のGTマシンを前にしながらの課外授業やホールでの講演を行った。

 今回ARTAが招待したのは、筑西市立関城中学校の1~3年生(約300名)、筑西市立東小学校の4~6年生(約150名)、筑西市立西小学校の4~6年生(約150名)。訪れた児童らは、地元の地区センターに突如として現れたGT500マシンとトップレーサーの姿に目を奪われながら、エンジン音やタイヤ交換の実演などを楽しんだ。

8号車ARTA MUGEN NSX-GTとともに課外授業を行う野尻智紀/大湯都史樹と司会を務めたピエール北川さん

 午後の部に集まった小学生300名を前に、レースファンにはお馴染みのピエール北川さんの司会でイベントは開始。マシンの最高速度やタイヤ交換のスピードなどをクイズで楽しみながら紹介し、お待ちかねのエンジン始動では、約1分間の暖機運転を披露。児童らは唸るエンジン音に合わせて手を上げたり体を揺らしたりしながら大盛り上がりとなった。

 またタイヤ交換の実演には「スゲ~!」と歓声が上がったり、実際にタイヤを持つ体験をした子には、「重そうだね…」「余裕余裕!」と思い思いの声が飛び交うなど、体全身でレーシングカーを体感できる課外授業となった様子だ。

メカニックと一緒に実際にタイヤを持ち上げる子どもたち

 次は、ホールに場を移して選手ふたりと、メカニックの相馬さんとキコさんがステージに並んで講演会を行った。

 ドライバーのふたりは自身らが小学生だった時のエピソードとして、野尻は「幼い頃は喘息に悩まされるほど体が弱かった」と明かし、一方大湯は「自分はシャイだったので、好きな子に想いを伝えられなかった」と茶目っ気のあるコメントをし、大勢の児童から笑い声が上がった。

講演会に登壇し自身のエピソードを語る野尻智紀と大湯都史樹

 続いてキコさんは「自分もレーサーとメカニックの両方になりたい。どちらも追うことを諦めない気持ちが大事」と、夢を追うことの大切さを述べ、相馬さんは「好きなことを追いかけるのが、なりたい自分になるための一歩」と、300名の小学生たちへ夢を叶える努力を応援した。

 生徒からの質問では、「レーシングカーのマフラーは普通の車とどこが違うのですか?」という小学生にしてはマニアックな質問も投げかけられ、メカニックのふたりが回答。今回の課外授業では、野尻、大湯というレーサーのふたりはもちろん、メカニックの姿も憧れの存在として生徒らに届いたはずだ。

講演会に登壇したメカニックのキコさんと相馬さん

 講演を終えた野尻は、「今日来てくれた子たちそれぞれに、挑戦してみないと気づけないような自分の得意なことがあると思います。そこで、ぼくたちみたいなドライバーやメカニックさんみたいな存在もいるのだという風に感じてもらうことで、子どもたちの視野が広がる手助けになればいいなと感じました」とコメント。

 子どもたちの前では冗談を交えながら話していた大湯も、「こういうかたちで子どもたちに会う機会は新鮮でした。特に中学生は自分の状況を真剣に考える時期だと思いますが、なによりも一瞬一瞬を大切にしていろいろなことを全力でやってみることが大事だということを伝えられたかなと思います」と語った。

 サーキットで行われるトークショーなどとの雰囲気とは異なって自身の事を慎重に語る場面も多く、ふたりにとってもフレッシュなイベントになったようだ。いよいよ最終戦を迎えるスーパーGT第8戦もてぎでは、子どもらの応援を力に変えて有終の美を飾る走りを期待したい。

2度行われたタイヤ交換の実演には、大きな拍手が沸き起こった
実際にエンジンを始動して暖機運転を行っている様子

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