「あの子ら」に不戦誓う 長崎・山里小で平和祈念式

あの子らの碑(右奥)の前で「平和の誓い」を述べる児童たち=長崎市立山里小

 長崎原爆の爆心地に程近い長崎市橋口町の市立山里小(中島由広校長、591人)で2日、平和祈念式があった。児童や教職員は、校区内で原爆の犠牲になった子どもら1300人余りを悼む「あの子らの碑」の前に集い、不戦を誓った。
 旧山里国民学校は爆心地から約600メートル地点にあった。原爆投下4年後の1949年、被爆医師の永井隆博士が生き残った児童らの証言などをまとめた書籍「原子雲の下に生きて」を出版し、その収入で同年に碑が建立された。
 祈念式は74回目。児童らの献水や献花の後、中島校長が「平和を脅かす出来事が世界で起こっている。すぐに止める力はないが、平和への思いを発信し世界が平和に包まれることを願う一日にしたい」と式辞。旧山里国民学校2年の時、爆心地から1.5キロの自宅で被爆した榊安彦さん(86)は講話で、空襲の記憶などを語り「戦争の愚かさや平和の尊さを山里小6年間で学び、卒業後も平和学習は終わらないと肝に銘じてほしい」と呼びかけた。
 全員で黙とうした後、6年の峰遥月さんが代表で「『戦争はしてはならない』と私たちが声を上げる必要がある。平和な世の中を願い、自分にできることを考えて実践する」と発表。児童全員で「平和の誓い」を述べた。

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