2大プロジェクトの投資で北部優先

特区政府は現在、北部都会区と交椅洲人工島という2大プロジェクトを推進しており、常に同時進行を強調してきたが、今回発表された施政報告(施政方針演説)を見る限り、当局の姿勢は政策と資源の面で明らかに北部都会区に傾いている。10月27日付『星島日報』によると、これは景気の下押し圧力と財政赤字の増大に関係していると思われ、財政難の中、当局は2つの大型開発プロジェクトを同時に進めることは困難であるため、北部都会区の開発を優先的に推進している。

北部都会区と交椅洲人工島の2つの大規模開発プロジェクトの構造には変化が生じる可能性がある。今回の施政報告では交椅洲人工島についてはあまり言及されておらず、わずか1段落だけであり、これは昨年の施政報告の3段落に比べて少ない。一方、北部都会区は段落が多く、北部都会区の行動計画が短期的に発表される予定で、すでに全面的に開発を始動する段階に達し、当局が非常に積極的であることを反映している。

北部都会区プロジェクト推進における当局の優先順位は、現在の経済環境に大きく関係している。新型コロナ収束後に出入境が全面的に再開され、香港を訪れる観光客は大幅に増えたものの、経済の回復は期待ほどではなかった。ロシアとウクライナの戦争が膠着状態にある中、イスラエルとパレスチナの紛争が再び勃発、地政学は複雑化し、経済の不確実性が増大し外需が低迷している。香港の輸出は過去最長の17カ月連続で減少し、香港経済の成長を制限している。

2大開発プロジェクトには10年以上かかるが、現在の経済難はサイクル的な問題であり、短期的な困難を理由に大規模インフラプロジェクトに尻込みすることなく、長期的な視点を持たなければならない。だが、この2つのプロジェクトは巨額の資金を要し、政府は慎重な財政管理を行う責任がある。交椅洲人工島の建設費は5800億ドルと推定されており、埋め立てによってもたらされる民間の住宅地と商業地の売却収入は建設費をはるかに上回る7500億ドルと見込まれている。ただし、この試算は不動産相場が着実に上昇するという前提に基づいており、ここ数年で不動産相場は2021年9月の高値から下落し、累積で17%下落している。このため各プロジェクトの優先順位を決定することも必要となっている。

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