製造から68年! マツダの三輪トラック「バタンコ」 “令和を走る”

昭和30年代の戦後の復興期に活躍したマツダの三輪トラック「バタンコ」が、“令和の広島” を走りました。

新品のナンバープレートが付いた古い車…、「バタンコ」の愛称で親しまれた、マツダの3輪トラックです。

今は、古い車を修復する専門店に置かれています。製造は68年前の1955年。車体には「伊木本店」と書かれています。

この日、訪れたのはバタンコの元所有者・伊木秀明 さんです。伊木さんの父・剛さんは醤油問屋を営んでいました。バタンコは配達で使うため、伊木さんが生まれてすぐ、家にやってきたそうです。老朽化が進み、廃車になったあとも、自宅で大切に保管され、再び走れるようになりました。伊木さんがこの「バタンコ」の動く姿を見るのは、およそ50年ぶりということです。

しょうゆの配達で父親と一緒に乗った少年時代を思い出し、伊木さんから笑顔がこぼれました。

伊木秀明 さん
「当時はもうちょっと乾いた爆発音だった気がするな」

ついにバタンコを運転

伊木秀明 さん
「よくもっている…。ミラーが生きていたとは。こうやって(キックでエンジンをかけようとする)、あれ? えらい軽い。ぼくが子どもじゃないから? 当時はバッテリーを大事にするんですよ」

エンジン始動で、いよいよ運転席へ…

伊木秀明 さん
「これは、公道で走れるようなしろものではないですね。子どものころは落ちちゃいけんということで縄でぐるぐる巻きにして。昔は道が悪いでしょ。ものすごくはねる。舗装していないんだから。しがみついて喜んでね」

伊木さんは、公道では助手席に乗って走りました。

伊木秀明 さん
「父が大きな身体をしてかっこよかったんですよ。それを思い出しながらハンドルを。エンジンかけて、セルモーターで懐かしい音がした。懐かしい爆発音がして父がかっこよく乗っていたのを思い出した」

昭和の戦後の生活を支えたマツダの「バタンコ」。令和の時代も “思い” を載せて走ります。

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