予選用タイヤ? あまりに速すぎる3号車のポールタイムにライバル疑念。Niterra Zの島田監督「解釈はご自由」

 スーパーGT第8戦モビリティリゾートもてぎ、ポイントランキング2位で逆転チャンピオンを狙う3号車Niterra MOTUL Zは予選で見事、ポールポジションを獲得。ランキングトップの36号車au TOM’S GR Supraとの7ポイント差を1ポイント縮める6ポイント差とした。翌日の決勝でポール・トゥ・ウインを狙うが、ライバルチームからは予選でのあまりの3号車の速さに、決勝ではタイヤが持たないのでは……との疑心の声が聞こえる。真相は決勝で明らかになるが、予選後の3号車Niterra島田次郎監督に聞いた。

 予選Q1で高星明誠がトップタイムをマークし、予選Q2でも千代勝正が初ポールポジションを獲得、さらに公式練習のトップタイムと合わせて、土曜日のすべてのセッションでトップタイムをマークして決勝に臨む3号車Niterra MOTUL Z。

 しかも、予選Q2のタイム差が2番手の17号車Astemo NSX-GTとコンマ6秒差もあり、ライバル陣営からは『予選に寄りすぎたタイヤコンパウンドなのでは……』との声が予選後のパドックで聞こえた。

 確かに、逆転優勝を狙うランキング2位の3号車としては、オーバーテイクが容易ではないストップ&ゴーレイアウトのもてぎでは、ランキングトップの36号車au TOM’S GR Supraよりも前のポジションでレースに臨みたい。さらに裏読みして考えると、予選で6台いるGRスープラ勢のどこかの後になってしまえば、ブロックなどを考慮すると逆転優勝は厳しくなる。3号車にとって、ポールからのスタートは是が非でもほしかったポジションであることは容易に想像がつく。

「素直に良かったです。(狙っていた?)それはもちろん。36号車の前に行きたかった。ドライバーふたりとも普段どおり集中していたし、順番もうまい感じで乗ってくれました」と、予選後に話す3号車の島田監督。

 予選スペシャルなタイヤを使っているのでは? という見方について聞く。

「そんなにレースで無理なタイヤではないです。もちろん、解釈はご自由なので(苦笑)」と、煙に巻く。

 クルマは「フリー走行から予選に向けては、ちょっとした常識的な修正くらいですね。持ち込みセットアップはズレていなかったと思っています」と万全な様子。

 チャンピオンを争う36号車は予選3番手、決勝に向けての勝負どころをどう感じているのか。

「相手に関してはどうしようもできないので、自分たちが優勝することしか考えていないです。(勝負は)ピットに入るタイミングだけになると思います。36号車はいつも燃費が良くて、(3号車より)2〜3秒ピット(静止時間)自体は早いと思っています。それを考えながらですね。明日は雲の量が見るサイトによってまちまちなので。そこがどうなのかなと」

 この週末は11月とは思えない程の暖かい気温になったが、それも3号車とミシュランにはバッチリとハマった様子。周囲は決勝ではタイヤのライフが厳しいと目論んでいるが、果たしてどこまでタイヤが保つのか。ブリヂストンを装着する36号車とのチャンピオン争いは、ミシュランとブリヂストンとの代理戦争ともなりそうだ。

2023スーパーGT第8戦もてぎ GT500クラスのポールポジションを獲得した千代勝正と高星明誠(Niterra MOTUL Z)
予選ポールポジションを獲得した3号車Niterra MOTUL Z

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