●松原さん「高岡に来て」
富山新聞の創刊100年を記念した「アニメEXPO(エキスポ)」の3展示会を訪れたファンが、県内の作品ゆかりの地や題材となった観光地に足を延ばし、にぎわいを呼んでいる。3連休最終日の5日は、高岡市立博物館で開かれている「松原秀典展」(富山新聞社主催)などの来場者が他の展示会や市内の飲食店、名所などを巡り、富山の魅力を堪能する「相乗効果」がみられた。
高岡市出身の人気アニメーター松原秀典さんの世界を紹介する「松原秀典展」の会場から約800メートル離れた同市末広町のラーメン店「らぁめん次元」には、開幕後、多くのファンが訪れている。
店内には松原さんがキャラクターデザイン・作画監督を務めたアニメ映画「この世界の片隅に」の主人公すずさんのイラスト入りサイン色紙や、サイン入りポスターが掲げられており、スマートフォンで撮影していく客が増えたという。
同店の長徳俊彦店長(47)は「松原展を見に来る人が増えれば、自然と周辺地域も盛り上がる」と期待を寄せた。
松原さん自身も、展示会を機にふるさとのにぎわいに貢献しようと交流サイト(SNS)で発信している。4、5日には連日、X(旧ツイッター)で、今回の個展用に描いたイラストの舞台にした高岡大仏の近くにある昆布店を紹介。「皆さまもぜひお立ち寄りください」とPRした。イベント告知時には高岡大仏の写真も投稿した。
「この世界の片隅に」公式ファンアート集の著者である「水口マネージャー」さんは4日、松原さんからポスターにサインをもらった。作品の舞台の一つとなった広島市で23日から開かれる広島国際映画祭に持参し、松原秀典展への来場を呼び掛ける予定だ。ポスターには、高岡大仏を眺めるすずさんが描かれており、水口さんは「すずさんが高岡大仏を見物に来たよと広島のファンに伝え、高岡に呼び込みたい」と意欲をみせた。
●舞台モデルを探訪グッズ売り上げ増 truetears展
南砺市のアニメ制作会社ピーエーワークスの出世作「true tears(トゥルー ティアーズ)」の展覧会「true tears 15年の真心の軌跡~富山で生まれ、富山で育まれたアニメ作品~」(富山新聞社主催)でも、会場の同市クリエイタープラザ桜クリエを訪れたファンが舞台モデルとなった同市城端地域を巡っている。
会社員岡本達也さん(31)=東京=は、ファンの交流ノートが置かれているJR城端駅内の市観光協会を訪問。ノートに「15周年おめでとう!」などと綴った。岡本さんは「またじっくりと城端のまちを散策したい」と笑顔をみせた。
作品関連商品のコーナーが設けられている南砺市伝統芸能会館じょうはな座では、クリアファイルやTシャツなどグッズの売り上げが伸びている。
●3会場「はしご」も
アニメEXPOでは、「松原秀典展」、「true tears展」のほか、シリーズ累計300万部の漫画「左ききのエレン」で作画を手掛けた漫画家nifuni(にふに)さんの個展も高岡市の御旅屋セリオで開催されており、各会場を「はしご」する来場者もみられる。