白山の気概、和太鼓に込め 国際エクスタジア

力強い演奏で聴衆を魅了した能登・豊年祭太鼓=白山市松任文化会館

  ●世界ジオ認定後初郷土を発信

 国民文化祭の白山市シンボル事業である「白山国際太鼓エクスタジア2023」(北國新聞社後援)は5日、市松任文化会館ピーノで開かれ、全国の14個人・団体が創作や郷土色がにじむ熱気あふれる演奏を繰り広げ、約1千人の聴衆の心を揺さぶった。今年は白山手取川ジオパークの世界ジオパーク認定後、初めての大会となり、出演者は当地に息づく和太鼓文化を発信する気概を示した。

  ●14個人・団体演奏

 2部構成で行われ、「太鼓ものがたり」と題した第1部は、神と人を結ぶ依(よ)り代(しろ)だった太鼓が楽器として世界に広がった過程を表現した。白山比咩神社の舞女(まいひめ)による「剣の舞」で幕を開け、神職らの奏でる太鼓や笛の音色に合わせて、短刀を手にした舞女が厳かに踊った。

 七尾市、志賀町の和太鼓団体の選抜メンバーによる「能登・豊年祭太鼓」は、海の男たちが神に豊漁への感謝をささげて打ったとされる豪快なバチさばきを見せ、聴衆の心をつかんだ。

 県内からこのほか、女性奏者でつくる「焱(ほのお)太鼓」や若手のチーム「隼」、中学2年から高校3年までで構成する「和太鼓サスケ」が出演し、新しい時代の息吹を示す太鼓の音を響かせた。

 第2部は「涯(はて)なき道にいどむ」と銘打ち、活動50年余の世界的な太鼓奏者・林英哲さんの古希にちなんだ曲「『海はかうかうと空に鳴り』―祝歳(しゅくさい)の饗宴(きょうえん)」を披露。林さんの太鼓と舞踏家の麿赤兒(まろあかじ)さん、邦楽囃子(はやし)方の藤舍呂悦さん、横笛奏者の藤舍貴生さんが共演し、盛り上がりは最高潮に達した。

 県外からは越中五箇山麦屋節保存会(南砺市)、今福優と道川神楽社中(島根県)、和太鼓松村組(兵庫県)、林英哲と英哲風雲の会(東京)、福井の若い翼(福井県)が駆け付け、舞台を華やかに彩った。

 浅野昭利実行委員長は「伝統的な楽曲と次世代を担う若者の演奏がステージで一体となり、和太鼓のさらなる可能性を表現できた」と話した。

剣の舞を披露する白山比咩神社の舞女=白山市松任文化会館

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