京アニ公判中間論告、「犯行は青葉被告のパーソナリティー」 検察側が妄想の影響否定

青葉真司被告

 36人が死亡、32人が重軽傷を負った2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第16回公判が6日、京都地裁(増田啓祐裁判長)で開かれた。最大の争点である刑事責任能力に関する中間論告があり、検察側は「犯行は被告のパーソナリティー(思考や行動の傾向)によるもので、責任能力が著しく減退していたとは言えない」と述べ、妄想の影響を否定。改めて完全責任能力があったと主張した。弁護側の弁論は午後に行われる。

 公判は長期に及ぶため、事件の経緯と動機▽責任能力▽量刑―に区分けして審理が進められている。この日の中間論告・弁論で責任能力までの審理が終了し、裁判は節目を迎えた。

 検察側は中間論告で、青葉被告の犯行動機について、京アニのコンクールに応募し落選した一方、女性監督が成功していくことに逆恨みを募らせたと説明。犯行直前、京アニ第1スタジオ(京都市伏見区)近くの路地で十数分間居座ったことを踏まえ「犯行直前に良心の呵責(かしゃく)があり、ためらった上で自分の意思で実行を決めた。犯行を思いとどまることが期待できた」と指摘した。

 その上で、青葉被告が抱いていた妄想について「被告の感情やパーソナリティーを色濃く反映したもので、京アニへの怒りや焦燥感を強化した程度に過ぎない。この思考に精神障害や妄想の影響が大きかったとは言い難い」と述べ、完全責任能力があったと主張した。

 弁護側はこれまでの公判で、精神障害による妄想の影響で、責任能力のない心神喪失か、著しく低い心神耗弱の状態だったとして、無罪または刑の減軽を訴えている。

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