【中国】ジェトロ、訪日・越境ECの需要掘り起こし[食品]

日本貿易振興機構(ジェトロ)は、「第6回中国国際輸入博覧会」で日本政府観光局(JNTO)と日本の11自治体と組んで、日本各地の魅力を発信した。インバウンド(訪日客)の拡大につなげるほか、訪日から帰国後の日本食品・酒類の越境電子商取引(EC)需要を捕捉する狙い=6日、上海市

輸入拡大を目的とした大型見本市「第6回中国国際輸入博覧会」が5日開幕し、日本貿易振興機構(ジェトロ)は、日本政府観光局(JNTO)と日本の11自治体と組んで、日本各地の魅力を発信した。輸入博ではジェトロ初の取り組みで、情報発信などを通じてインバウンド(訪日客)の拡大につなげるほか、訪日から帰国後の日本食品・酒類の越境電子商取引(EC)需要を捕捉する狙いだ。

輸入博の食品・農産品ホールに越境ECの商品を扱う「ジャパンモールブース」を設置した。連携したのはJNTOと北海道や長野、愛知、福井、福岡、大分、長崎、熊本、鹿児島、宮崎、沖縄の11自治体。ブースを通じて、JNTOと11自治体の交流サイト(SNS)アカウントのフォロワーを増やし、訪日関心層を囲い込んでインバウンドの促進を図る考え。複数人の日中のインフルエンサーを会場に招致し、情報配信を行うことで、日本各地の商品のEC販売促進を目指す。

ブースでは前年比で3倍となる150品目以上の日本産酒類が試飲できる特設エリアを設け、レバーを倒すと日本酒や焼酎などが出る仕組みを採用。菓子などの加工食品を含め250品目以上を展示した。越境ECの出品物には全て2次元コードを配置し、スキャンすればその場で注文できるようにした。ジャパンモール事業と連携する業者が中国に持つ保税倉庫から商品を発送する。

■拡販へ複数の施策

会期終了後は、SNS「微信(ウィーチャット)」のジェトロアカウントで囲い込んだ来場バイヤーをジェトロのオンライン・ビジネスマッチングプラットフォーム「China Japan Street(日本商務館)」に誘導。多くの日本企業とのビジネスマッチングを実施する考えだ。

日本商務館は微信のミニプログラム(微信内で動くアプリ)として、22年10月にサービスを開始した。現在は日本企業700社の6,000商品以上が登録し、利用する中国バイヤーは1万1,000人。

今後の拡販に向けて、ジェトロは中華料理店向けに日本酒の売り込みを強める。来年初めには上海市や広東省広州市、同省深セン市で高級料理店を対象とした試飲イベントを開く予定。同様のイベントはさまざまな地域、グレードの店舗向けに年数十回開催する方針で、日本酒の需要のすそ野を広げる。

焼酎も同様に、来年初めに上海市で試飲イベントを開催する予定だ。

ジェトロ上海事務所の高山博副所長は、日本の食品・酒類企業に向けて、「自社商品の中国市場の可能性などを探るためにも、まずは自身で市場を見てほしい。ジェトロにはさまざまな支援サービスがある」と呼びかけた。

■4都市で常設展示

ジェトロは現在、上海市や広州市、四川省成都市、遼寧省大連市の全国4都市に日本産食品・酒類の常設展示場を展開している。

最大は上海市の虹橋国際空港のそばに位置する輸入製品取引センター「虹橋進口商品展示交易中心(虹橋品匯)」でのジャパンモールの常設展示場。面積は1,000平方メートルで、輸入した食品・酒類を約1,700品目展示。輸入博会場のように2次元コードをスキャンして注文できるほか、即売コーナーも設置した。

広州、成都、大連の常設展示場は今月1日、各地のジェトロ事務所に設置。それぞれ300SKU(最小管理単位)以上の商品を展示する。

現在は複数の地方政府から常設展示場の設置に関する問い合わせがあり、今後増設するかどうかを検討していく。

レバーを倒すと日本酒や焼酎などを試飲できる特設ブースを設置した。前年から3倍となる150品目以上を用意し、多くの来場者が試飲した=6日、上海市

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