日越外交50年 長崎で「アニオー姫」特別劇 美しい曲と語りで魅了

美しい曲と語りで観客を魅了した「アニオー姫」の特別音楽朗読劇=長崎ブリックホール

 日本とベトナムの外交樹立50周年を記念し制作されたオペラ「アニオー姫」の特別音楽朗読劇が6日、長崎で初演があった。江戸時代の長崎の朱印船貿易商、荒木宗太郎とベトナム中部の王女、アニオー姫(玉華(ゴック・ホア)姫)の物語。美しい曲と語りに約400人の観客が酔いしれた。
 同オペラは両国関係者が制作し、9月に首都ハノイで初演、11月4日に東京で上演した。特別劇は、オペラのキャストやベトナム国立交響楽団のアンサンブルが作品の世界観を生演奏と朗読、映像などで表現。初演は長崎ベトナム友好協会員らの「実現する会」が共催した。
 物語は17世紀初頭、ベトナムを目指し船で航行中の荒木と姫の出会いから始まる。10年後に再会し結婚するまでのラブストーリーや長崎での生活、最期を描いた。
 同市茂里町の長崎ブリックホールの初演では、荒れた海や星空の映像が流れる中、両国の言語でアリアやデュエットを披露し、拍手に包まれた。荒木役を務めたオペラ歌手、山本耕平さんは「長崎で公演し、姫がここで暮らして今につながったと感じられ、涙を我慢して演じた」と語った。
 長崎くんちで2人の物語を表現する「御朱印船」を奉納した同市本石灰町の関係者も観覧。アニオー姫役だった熊谷朱梨さん(8)は「衣装を見て(くんちの)前日を思い出した。2人の生活が感じられ、すてきだと思った」と語った。
 オペラと特別劇は今後、国内外各地での上演を目指す。

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