宇宙葬、メタバース霊園も…変わる葬儀、供養の形に対応 アルファクラブ武蔵野、長期事業計画を発表

「メタバース霊園」のイメージ画像(アルファクラブ武蔵野提供)

 冠婚葬祭互助会事業のアルファクラブ武蔵野(埼玉県さいたま市大宮区、和田浩明社長)は、2032年の創業70周年に向けたグループの長期事業計画「VISION(ビジョン)70」を発表した。互助会会員や斎場の立地地域に多彩なコミュニケーションの場を提案しようと「宇宙葬」や「メタバース霊園」「盆栽カフェBLOOMY'S(ブルーミーズ)」などの主要6計画を明らかにした。和田社長は「インターネットを一つのエンジンに、少子高齢化や生活様式の多様化に伴う潜在需要を掘り起こしたい」と話している。

 同社では未来を担う若手社員からアイデアを募り、社内プレゼンテーションを通じて具現化しようと約2年前に「未来創造会議」を立ち上げた。これまでライフプランナー育成、仮想空間やモビリティーを活用した成人式、交流サイト(SNS)の広報戦略など28プランが提案されている。今回、ビジョン70として「宇宙葬」「メタバース霊園」「盆栽カフェブルーミーズ」「海外進出」「小規模の葬儀場ソライエ」「CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)設立」の六つを主要施策に掲げた。

 「宇宙葬」は昨今、葬儀形態が多様化する中で樹木葬や海洋散骨から着想を得て、故人の遺灰(の一部)を納めたカプセルをロケットに載せ、宇宙に散骨することで「空からいつでも見守ってもらえる」という家族の心情に寄り添ったサービス。米国・セレクティス社の正規代理店銀河ステージ(大阪市)の「スペースメモリアル」と委託契約を結んだ。同社では宇宙開発事業への投資も視野にCVCを立ち上げ、「いち早く内製化し収益化につなげたい」と話している。

 「メタバース霊園」はインターネット上の3次元仮想空間(メタバース)でパソコンやスマートフォンを介して自身のアバター(分身)を使って供養に参列するもの。個人や霊園事業者がNFT(非代替性トークン)化された仮想スペース(土地)を購入する。故人を3D化、人格形成を人工知能(AI)に学習させ、声を合成音声化することで「100年後の子孫との会話も実現する」という。遠方で墓参りが難しい人や墓じまいなどに悩んでいる人などをターゲットに24年7月に本リリース予定。

 また、今年6~8月まで期間限定でさいたま市内に出店していた「盆栽カフェブルーミーズ」を24年1月に春日部市新庁舎内で開業。このほか海外進出の足掛かりに24年5月にベトナム・ホーチミン市にサロンを開設することや「1日1組貸し切り」「スタッフ無人」の小規模葬儀場にも力を入れ、31年までに全国180カ所に増やす方針を明らかにした。

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