「青森国際ホテル」跡地周辺に再開発構想 地権者ら準備組合設立、複合施設建設へ

再開発が検討されている旧青森国際ホテル周辺=6日、青森市

 2020年に運営会社の破産に伴い閉館した青森市新町1丁目の「青森国際ホテル」の跡地について、同ホテルや周辺施設の地権者らが準備組合を組織し、周辺地区一帯での市街地再開発事業を検討していることが6日、分かった。ホテルは今後解体し、商業施設や集合住宅などを想定した複合施設を新たに建設する。「旧青森国際ホテル跡地地区市街地再開発準備組合」の神克行代表が東奥日報の取材に明らかにし、「にぎわいある空間づくりと青森駅前の活性化を目指したい」と意気込みを語った。

 同組合によると、再開発事業の対象となるのは旧青森国際ホテルの本館、別館とその周辺地区約20世帯。関係者らは20年秋ごろから再開発に向けた検討を始め、今年3月に準備組合を設立した。準備組合には同ホテルを所有する城ケ倉観光(青森市、丹野智宙代表取締役)のほか、当該地区の地権者らが参画する。

 再開発の面積は約8千平方メートルで、商業・業務施設、集合住宅による複合施設と駐車場を一体で整備する計画。また、新町通りからパサージュ広場を経由したニコニコ通りへの貫通通路による回遊性の向上や、公共性のある空間づくりを目指す。ホテルの解体時期や複合施設の完成時期は未定。再開発には、フージャースコーポレーション(東京)、旭化成不動産レジデンス(同)、NTT都市開発(同)の3者が事業協力者として参画する。

 青森国際ホテルは1948年開業。同ホテルを運営していた青森市の「国際ホテル」は、新型コロナウイルス感染拡大などの影響により、20年5月に破産手続きを開始。同社はホテルの建物と土地について、破産申請前に城ケ倉観光と売買契約を締結していた。城ケ倉観光によると、ホテル閉館に伴い本館から別館に移転した中国料理店「吉慶(きっちゅん)」は、今後も営業を継続するべく新たな移転先を探す方針だという。

 青森市の中心街では近年、再開発事業が進む。今年4月、同市新町の旧中三青森店跡地に複合商業施設「THREE(スリー)」がオープン。同じく新町で角弘本社ビル一帯の再開発、青森駅東口の旧駅舎跡地では新たな複合施設の建設が進み、いずれも来年に整備が完了する見通しだ。

 神代表は「青森市が掲げる、地域コミュニティーの維持を軸とした『コンパクト・プラス・ネットワークの都市づくり』へ、少しでも貢献できれば」と話した。

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