「ルール知らない人も…働きかけたい」 埼玉県警とクルド人ら、川口で合同パトロール 地域での共生促す

JR東川口駅付近をパトロールする警察官と日本クルド文化協会のワッカス・チカン代表理事(右)=4日午後5時45分ごろ

 在留外国人らの安全確保を強化しようと、埼玉県警国際捜査課などからなる在留外国人安全確保総合対策本部は4日、川口市のJR東川口駅を中心に外国人らと合同でパトロールを行った。川口市役所や地元町内会、日本クルド文化協会や東京入国管理局などから約50人が参加。パトロールを通して、県南地域で増加する外国人らと地元住民の共生を促した。

 出入国在留管理庁(入管庁)のまとめによると、川口市内の昨年末時点での在留外国人数は約4万人で、市区町村別では東京都新宿区に次いで全国で2番目に多い。市内で最も多いのは中国で、ベトナム、フィリピン、韓国、トルコと続く。また国際捜査課によると、県内における9月末時点での外国人検挙件数は前年同期から323件増の1220件で、検挙人員は156人増の823人。特に同市内では人口比率の高さ故、外国人による犯罪が他の市町村よりも多いことから対策が求められていた。

 県警は各署でこれまで行ってきたパトロールに加え、10月から第1、3金曜日と土曜日にも大規模パトロールを開始。地域住民との間に騒音トラブルなどの問題を抱えるトルコ国籍のクルド人らも独自で夜間パトロールを行っており、この日は初めての合同実施で駅付近を歩き通行人らに防犯を呼びかけた。

 参加した地元町内会では、過去に家庭ごみの処理について外国人との間にトラブルを抱えていたという。しかし多言語でルールを周知することで解消できたとして、参加者は「一つ一つの問題に対して、コミュニケーションを図ることで解決に向かうことができると感じた」と話し、クルド文化協会のワッカス・チカン代表理事(32)も「外国籍の住民の中には日本のルールを知らない人もいる。われわれだけでなく皆さんに教えていただいて、悪いことをしないように働きかけたい」と前を向いた。

 武南署の門井幸夫署長は「警察や行政機関、住民、外国人団体の相互理解を促進することで強固な地域ネットワークが構築ができる」と期待を語った。

© 株式会社埼玉新聞社