立冬控え 大田原の天鷹酒造で仕込み始まる 県土の恵みが芳醇な酒に 気の抜けない作業、来春まで

かい棒を操り仕込み作業を行う蔵人たち

 【大田原】8日の立冬を前に、蛭畑の天鷹酒造で7日、今季の本格的な仕込み作業が始まった。同酒造は日本酒全量に使用する原料の県産米比率を98%に引き上げた。県土の恵みを芳醇(ほうじゅん)な嗜好(しこう)品に変えるべく、気の抜けない作業が来春まで続けられる。

 作業は午前7時に始め、下野杜氏(とうじ)・南部杜氏の大宮金充(おおみやかねみつ)さん(61)ら5人の蔵人が355キロの米を蒸し、蒸し米の一部がホースを伝い風圧で約50メートル先の仕込蔵に送られた。蔵人たちは室温6度の仕込蔵で直径、深さとも3メートルのタンクにかい棒を入れ酒母、こうじ、地下水と蒸し米が均一になるよう押し引きし、もろみの仕込み作業を行った。

 もろみは発酵し、絞った後熟成される。2千~6千リットルのタンク61本で、12万本(1.8リットル瓶換算)の日本酒を製造する予定だ。

 今季は酒米「山田錦」に代えて本県オリジナル酒造好適米「夢ささら」の本格的な使用を始め、使用米全体の3割強に増やした。尾崎宗範(おざきむねのり)社長(63)は「夢ささらで造る酒はうま味がありながら山田錦より後味がすっきりしている。おいしい酒を県産に特化して造っていきたい」と話す。

かい棒を操り仕込み作業を行う蔵人たち
かい棒を操り仕込み作業を行う蔵人たち

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