シンガポールのファンド、妙高杉ノ原スキー場を取得 西武HDから、運営継続・雇用は維持 大規模リゾート開発の一環、総投資額2000億円  

 シンガポールに本社を置く不動産投資ファンド、ペイシャンス・キャピタル・グループ(PCG)が妙高杉ノ原スキー場(妙高市)を西武ホールディングス(HD、本社・東京都)から取得したことが7日、分かった。取得額は非公表。PCGは西武HDにスキー場運営を委託し、これまで通り営業を続ける。従業員の雇用も維持する方針だ。
 関係者によると、PCGが妙高地域で計画する総額2000億円規模の大規模リゾート開発の一環。妙高市など県内の自治体や関係者らに計画を説明している。自治体側からは、観光誘客などで本県全体の経済活性化につながるとの期待が大きい。地元・妙高高原の関係者は「いろいろな話が今まであったが、ここに来て方向性が見えた。大きく期待していきたい」と話した。2000億円という開発規模には「当初は全体で1200億円だったが、投資が増えて2000億円規模になったと理解している」。斑尾高原エリアと連動し、「地域で一体化した開発になる」と展望した。
 妙高杉ノ原スキー場は妙高山麓を切り開いた約90ヘクタールのスキー場で、1964年にオープンした妙高国際スキー場(三田原ゾーン)を前身とする。67年に国土計画(当時)に経営が移り、以来、西武グループによる経営が続いてきた。同社はその後、杉ノ原ゾーンを造成。最長滑走距離は8・5キロ、高低差1124メートルは県内でも有数のスペックだ。
 西武HDは2022年、財務改善のため苗場プリンスホテル(湯沢町)を含む複数の施設を、シンガポールの政府系投資ファンド、GICが関係する会社に売却した。妙高杉ノ原スキー場はGICへの売却対象に含まれていなかったが、その後、アセットライト(資産保有の抑制)の一環でPCGに売却することとなった。
 上越市の関係者は「北海道のニセコ、長野県の白馬と肩を並べる国内有数の大規模リゾートになる可能性がある」と指摘した。
 PCGは19年設立。シンガポールと日本でビジネスを展開する。最高経営責任者(CEO)は前GIC日本代表のケン・チャン氏。

妙高杉ノ原スキー場(今年2月撮影)

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