【中国】輸入博で巨額契約相次ぐ、資源や航空など[経済]

上海市で開催中の輸入拡大を目的とした大型見本市「第6回中国国際輸入博覧会」で、国有を中心とする中国企業と海外企業の巨額契約が相次いでいる。輸入博は中国の貿易黒字削減が目的の一つで、資源や航空などの分野で輸入を増やす企業の動きが広がった。中国の巨大経済圏構想「一帯一路」対象国からの調達も目立った。

国有石油大手の中国石油化工集団(シノペック)は、16カ国・地域のサプライヤー38社と原油や化学工業製品、設備などの購入契約を交わした。契約額は計403億米ドル(約6兆570億円)。これとは別にカタールの国営石油カタールエナジーと年間300万トンの液化天然ガス(LNG)を27年間調達する契約も結んだ。

国有同業大手の中国石油天然ガス集団(ペトロチャイナ)は、22社と計約171億米ドルに上る調達契約を交わした。サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコやクウェート石油公社(KPC)との契約を含む。

国有エネルギー事業会社の国家能源投資集団は、モンゴルやスイス、インドネシア、米国など20カ国・地域の44社と石炭や先端設備、先進技術サービスなどの輸入契約を締結。契約額は計26億4,000万米ドルで、同社の輸入博での契約としては品目数と調達額はともに過去最高となった。

国有電力大手の中国華電集団は、ドイツ風力発電大手シーメンス・エナジーや米ゼネラル・エレクトリック(GE)などとガスタービンや石炭、技術サービスなど計8項目の調達契約を結んだ。契約額は4億5,700万米ドル。

■百億米ドル超の契約も

航空分野では、航空大手の中国東方航空集団がチリやトルコ、ロシア、米国など9カ国・地域のサプライヤー13社と航空機エンジンの調達・メンテナンスや航空燃料、機内食などの分野で輸入契約を結んだ。契約額は25億米ドル以上。

中国南方航空集団は、CFMインターナショナルやインターナショナル・エアロ・エンジンズと航空機エンジンなどの購入で計11億1,000万米ドルの契約を締結した。2社を含む計20社と24件の調達契約を結び、取引額はここ数年で最大規模という。

国有航空機メーカーの中国航空工業集団は、航空機製造や電子情報などの分野で海外サプライヤーと計5億米ドル近い契約を結んだ。

中国造船大手の中国船舶集団(CSSC)は、9カ国・地域の17社とエンジンやLNG供給システムなど計4億8,200万米ドルの購入を契約。大型設備メーカーの中国一重集団は、ドイツ企業などと計3,991万米ドルの購入契約を締結した。

中国食品最大手の中糧集団(COFCO)は、100億米ドルを超える農産物の調達契約を結んだ。米国、カナダ、ブラジルなどからはトウモロコシや大豆などを調達し、アルゼンチンや南アフリカ、カンボジアなど一帯一路沿線国からは小麦やコメなどを輸入する。

■製薬分野で提携

今回の輸入博では製薬分野で外国企業との提携が広がった。

第一財経日報(電子版)によると、ドイツ製薬大手のベーリンガーインゲルハイムは、広州恩邁生物科技と炎症性疾患の「創新薬(自主開発した新薬)」の開発、生産で提携すると発表した。

イスラエルの製薬会社テバ・ファーマシューティカル・インダストリーズは片頭痛予防薬「フレマネズマブ」の中国展開などに関して、華潤広東医薬と戦略提携を結んだ。

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