脱炭素で高岡市選定 県内初、環境省の先行地域

高岡駅前の中心市街地。脱炭素の取り組みが加速する(高岡市提供)

  ●中心市街地で太陽光促進

  ●全国発信へ

 環境省は7日、政府目標に先駆けて2030年度までの脱炭素化に取り組む「先行地域」の第4弾として高岡市など12道府県の12件を追加した。富山県内で選ばれたのは初めて。市は中心市街地での太陽光発電設備の導入や、基幹産業のアルミ関連企業と連携した太陽光パネルの再利用などを進め、高岡発の循環経済モデルとして全国に発信する。

 市や各企業などで構成するカーボンニュートラル推進協議会が「脱炭素未来都市高岡の挑戦」と題した計画を提案していた。

 対象エリアは高岡駅前の中心市街地と福岡金属工業団地。戸建てや集合住宅306戸、飲食店・商業施設など375施設、民間施設など34施設の参加を見込む。

 主な取り組みとして、太陽光発電・蓄電池の導入を目指す住宅や民間施設では一般家庭1千軒分の消費電力に相当する約4053キロワットを発電するほか、国吉地区では埋め立て処分場などの遊休地を活用して大規模太陽光発電設備の設置を促進する。

 ウイング・ウイング高岡、ホテルニューオータニ高岡、御旅屋セリオの3施設では実質的なエネルギー消費がゼロとなる「ZEB(ゼロ・エネルギー・ビルディング)」の改修を推進。リサイクルが難しい廃アルミを原料とした水素火力発電なども導入する。

 市内外で発生する使用済み太陽光発電設備を再生アルミ資材として完全リサイクルする計画は福岡金属工業団地で進め、こうした取り組みには10月に高岡でアルミリサイクルの研究拠点となる「軽金属材料共同研究棟」を開所した富大も協力する。

 中心市街地には参加企業が持つ技術を分かりやすく伝え、脱炭素の取り組みが体感できる「ショールーム」を設置する計画で、アルミの回収機械、地中熱ヒートポンプの導入も進め、市街地の求心力を高めることで、にぎわい創出につなげる。

 今回の先行地域の選定により、市は24年度から5年間、国の交付金による支援が受けられる。この間に循環経済モデルの構築、太陽光発電、水素発電の導入などを順次進めていく。

 政府は50年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げており、今回の選定で「先行地域」は全国で36道府県の計74件となった。環境省は25年度までに100件以上に増やすとしている。

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