子ども巫女残った 高岡関野神社、2人加入

新しく加入し、先輩巫女と初対面して激励を受ける西澤さん(前列左)と平野さん(同右から2人目)=高岡関野神社

  ●コロナで減も、4人舞へあと1人

 高岡関野神社(高岡市末広町)の春季例大祭であるユネスコ(国連教育科学文化機関)無形文化遺産の「高岡御車山祭(みくるまやままつり)」などで舞を奉納する子ども巫女(みこ)に、7日までに2人が新規加入した。巫女はコロナ禍の影響で減り、来年度は1人となる見込みで存続が危ぶまれていたが、計3人となり2人一組での舞は存続できることになった。祭祀(さいし)舞の主流である4人舞まで「あと一人」であり、伝統継承へ人材確保を急ぐ。

 巫女を育成する歌舞倶楽部(かぶくらぶ)は2002年、巫女のいない同神社で高校生らに舞を指導するため設立された。2011年からは子どもたちに伝統の祭りに触れてもらおうと、児童に舞の稽古を行っている。教えを受けた子ども巫女は、13年から御車山祭で4月30日の宵祭(よいまつり)と一部の山町、5月1日の大祭式で舞を奉納している。

  ●来春の御車山祭で舞奉納へ

 「歌舞倶楽部」に加わったのは、高陵小4年の平野結音さん(9)と西澤愛未さん(10)。2人は現在、先輩部員5人や神職から「豊栄(とよさか)の舞」の舞い方や所作の指導を受け、初披露となる来春の御車山祭に備えている。

 これまで、コロナ禍による御車山祭の中止や縮小開催で舞を披露する機会が減ったため「歌舞倶楽部」の入部希望者は減少。平野さんと西澤さんの加入前は、小学6年生4人と4年生1人の計5人で、6年生が卒業する来年度以降は1人となるため存続は困難な状態だった。

 神社では伝統が途絶える危機感から山町近隣の校区である高陵小と博労小にチラシを配布し、部員を募集してきた。

 同神社によると、祭祀舞は楽曲によって人数が決められており、4人舞が主流で、人数がそろわなければ2人舞も可能となる。

 巫女の装束に興味があったという平野さんは「舞の動きは一見、簡単なようだが、きれいに見せるのは難しい。先輩を見習いたい」と語った。西澤さんは「御車山では4人で舞いたい」と話した。

 歌舞倶楽部は月2回、日曜に稽古を行っている。

 神職の木津祐美子さん(58)は「今後も祭りや宮の伝統に関心のある子どもたちを募っていきたい。興味があれば、まずは稽古の見学や体験に来てみてほしい」と語った。

 ★高岡関野神社 関野神社(旧熊野社)と高岡神社(旧稲荷社)、加久彌(かくみ)神社(旧神明社)が起源で、3社が1806(文化3)年に現在地に遷座された。加賀藩前田家2代前田利長をまつり、「高ノ宮」として親しまれる。毎年5月1日、春季例大祭として高岡御車山祭を営み、全7基の山車(やま)が巡行する。御車山は利長が高岡城を築く際、豊臣秀吉から拝領した御所車を町民に与えたのが始まりと伝わる。

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