収蔵作品の移設開始 来年3月閉館の庄川美術館

美術作品の梱包に取り組む関係者=砺波市の庄川美術館

  ●大型ブロンズ像の一部、水記念公園で一時保管 正式な移転先固まらず

 砺波市は7日、今年度末で閉館する庄川美術館の収蔵美術品の移設作業を始めた。同日から来年1月3日まで臨時休館にして美術品を梱包し、庄川支所内に移す。大型ブロンズ像の一部は再整備を検討する庄川水記念公園内で一時保管する予定だが、再整備の議論がずれ込んでいる影響で正式な移転先はいまだ固まっておらず、市は地元の意向を尊重して決める。

 庄川美術館は1989(平成元)年11月、砺波市庄川町出身の彫刻家松村外次郎氏の作品寄贈をきっかけに開館。松村氏の収蔵作品を紹介し、地域の作家の彫刻や絵画の展示会を開いてきたが、公共施設の再編計画で隣接する庄川水資料館とともに来年3月末で閉館する。

 市は閉館を前に、所蔵する絵画や彫刻など730点余を市庄川支所2階に移設する予定で、7日から美術作品の梱包作業を始めた。今後は絵画などに関して市美術館の常設展示も検討する。

 大型ブロンズ像は松村氏の二科展出品作の「タバコ」や「東天紅(とうてんこう)」、二紀展出品作の「朱雀(すざく)や「ふたり」など5点と、同市庄川町出身で日展評議員などを務めた彫刻家辻志郎氏の「人間門」の計6点は庄川水記念公園内の旧ソーラーカー展示室に一時保管する。その後は同公園内での屋外展示を検討しており、再整備計画で展示エリアが決まり次第、順次、展示を進める予定にしている。

 庄川水記念公園の再整備をめぐり、地元の砺波庄川まちづくり協議会の意見提出を待ってから検討委員会の議論を進める段取りとなっており、当初より議論がずれ込んでいる。大型ブロンズ像の6点の正式な設置場所は決まっていない状況で、庄川美術館長を兼務する杉野秀樹砺波市美術館長は「エリアを確保して広い屋外で松村外次郎氏の本質であるおおらかさを味わってほしい」と話した。

 臨時休館後の1月4日以降は松村氏のコレクション20点余を展示して年度内まで開館を続ける。

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