平和願い 国旗色の気球に長崎の風 ウクライナバルーン選手4人、祈念像前を訪問

平和祈念像の前で風を受けて膨らむバルーン=長崎市、平和公園

 佐賀市で先日開催された熱気球大会「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」に出場したウクライナ人選手4人が7日、長崎市松山町の平和祈念像前を訪れた。ロシアの侵攻を受け、母国の空は自由に飛ぶことができない。選手たちは「被爆地から平和のメッセージを届けたい」と願い、国旗色の青と黄色の気球に長崎の風を送り込んだ。
 来崎をサポートした佐賀バルーンフェスタ組織委員会によると、4人は順位を競わない「フェスタ部門」に出場。長崎の祈念像前でもバルーンを立ち上げたいと強く希望したという。大会に40年以上携わる同組織委の川副薫副理事長は「ロシアが核兵器による威嚇をする中、選手は長崎に特別な思いがあるのだろう」と推し量る。
 選手と組織委メンバーは7日早朝から、祈念像前の広場で気球を膨らませたが、強風のため立ち上げは断念。それでも「Slava Ukrayini!(ウクライナに栄光あれ)」と記された気球が膨らむ様子を、居合わせた観光客や市民が見守った。
 選手は首都キーウ(キエフ)や欧米に暮らす。米国在住のハーマン・シュワルベさん(61)は、チームポロシャツに記された「OPEN THE SKY OVER UKRAINE」の文字を指しながら「ウクライナに爆弾のない平和な空が戻ることが、私たちの最大の願い」と切実な思いを語り、「来年また長崎に戻ってきたい」と笑顔を見せた。

長崎を訪れたウクライナの選手たち=長崎市、平和公園

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