【エリザベス女王杯】“第二のオンナ”に伸るか反るか……牝馬三冠世代に挑んだ3歳牝馬の記憶

第48回エリザベス女王杯(11月12日/GI、京都芝2200m)には、昨年の覇者ジェラルディーナ、府中牝馬S勝ちのディヴィーナら古馬勢に秋華賞3着のハーパー、ローズS2着のブレイディヴェーグら3歳勢が挑む。

今年は牝馬三冠リバティアイランドがジャパンCに参戦の予定。牝馬三冠が不在のエリザベス女王杯の歴史を振り返り、3歳勢の取捨を考察する。

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■牝馬三冠世代の優勝はわずか1例

秋華賞が創設した1996年以降、牝馬三冠は6頭が誕生した。

このうち、同年のエリザベス女王杯に参戦したのは2頭。2003年のスティルインラブは同世代のライバル、アドマイヤグルーヴにハナ差の2着、10年のアパパネは英国の3歳牝馬スノーフェアリーの3着に敗れた。残り4頭は不出走。今年のリバティアイランドと同じく、ジャパンCに参戦した。

2012年は牝馬三冠ロードでジェンティルドンナの2着続きだったヴィルシーナがエリザベス女王杯に参戦。単勝1.9倍の支持を集めたが、7番人気の5歳牝馬レインボーダリアにクビ差差し切られ、またもや2着と惜敗した。

2017年のアーモンドアイ世代は、秋華賞3着のカンタービレ、紫苑Sを快勝後に秋華賞をパスし挑んだノームコアが参戦。ノームコアは2番人気に支持されたが5着、カンタービレも6着と敗れ、4歳牝馬リスグラシューが戴冠。2着に9番人気の5歳牝馬クロコスミアが前年に続く波乱を演出し、3着は前年覇者のモズカッチャン。ここでも古馬の壁に跳ね返られている。

■リバティアイランドとの「差」を考える

そして、記憶に新しい2020年のデアリングタクト世代も、オークス2着のウインマリリンが秋華賞15着から巻き返すも4着まで。この年は秋華賞3着のソフトフルート、ローズSで重賞2勝を上げていたリアアメリアら5頭がエリザベス女王杯に出走したが、うち4頭は掲示板外。5歳牝馬ラッキーライラックが連覇を達成し、2着も5歳牝馬サラキア、3着に前年3着のラヴズオンリーユーと古馬が独占した。

今年はオークス2着、秋華賞3着のハーパー、ローズSで後に秋華賞2着のマスクトディーヴァに詰め寄っ素質馬ブレイディヴェーグの2頭が参戦する。

ハーパーは戦績だけを見れば、アドマイヤグルーヴやヴィルシーナに近い存在だが、この2頭は牝馬三冠馬と接戦を演じた馬たち。オークスはリバティアイランドに6馬身差、秋華賞も3馬身半差は前述2頭と比べ劣る。

ブレイディヴェーグはノームコアと同じ秋華賞をパスした馬。ローズSを制したマスクトディーヴァが後に秋華賞で上がり最速の2着と好走したが、リバティアイランド自身がゴール前は手綱を緩めている。やはり、ここでもリバティアイランドとの差を感じる。

リバティアイランドが牝馬三冠で「1強」を示した現3歳世代。“第二のオンナ”が通用するとすれば、リバティアイランドの実力が想像をはるかに超えるものか、あるいは古馬がだらしないか……しかない。

しかし今年は、前年の覇者ジェラルディーナが駒を進めてきた時点で「古馬の壁」は厚い。

これにヴィクトリアマイル4着から本格化したディヴィーナ、凱旋門賞にも登録したサリエラと、古馬勢にも魅力的な存在は多く、今年も3歳馬の優勝はない、と予想する。

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(T.Yamada/SPREAD編集部)

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