笑笑笑笑笑…校歌の一節「元気な心」を囲む「笑」 書家と児童が“超大作”を共同制作 さいたま上落合小

完成した「元気な心」と「笑」の書を取り囲む全校児童たち=埼玉県さいたま市立上落合小学校

 大きな紙に書家が揮毫(きごう)した校歌の歌詞に児童たちによる書を加えて一つの作品を作り上げる芸術の特別授業が10月30日、埼玉県さいたま市中央区の市立上落合小学校(米原大司校長、児童数787人)で行われた。同市教育委員会が推進する「夢工房 未来(みら)くる先生ふれ愛推進事業」の一環。当日は、さいたま市在住の書家、円谷風香さんが先生役となり、書の魅力について語った。

 体育館の中央には、縦3.2メートル、横6メートルの大きな紙を設置。円谷さんは、児童たちが校歌を斉唱する中、歌詞に出てくる「元気な心」を柄の長さ約1.5メートル、墨を含むと約5キロある大きな筆で迫力ある動きを披露し書き上げた。

 その後、「元気な心」の書の周りには、約100人の児童たちが大小14本の毛筆を使って「笑」の文字をちりばめた。円谷さんは、児童たちに筆の運びを教えながら「書は人を感動させる力がある」などと語り、「皆さんの『笑』も個性豊かでパワーがある。それぞれが引き立て合って素晴らしい作品ができた」と書の完成を喜んだ。

 その全貌がドローンによる撮影でスクリーンに映し出されると大きな歓声が湧き上がり、児童全員が笑顔で拍手した。同小代表委員会の委員長を務める6年の金子侑誠さん(12)は「間近で書道パフォーマンスを見てすごかった。圧巻だった」と興奮冷めやらぬ様子。硬筆8段、毛筆7段の腕前を持つ4年の中田梨陽さん(10)は「『笑』を書いた時、先生に褒められてうれしかった。これからも頑張りたい」と笑顔を見せた。

 米原校長は「子どもたちは生でプロの技を見て、心に残る楽しい体験ができた」と円谷さんに感謝していた。円谷さんによる書の授業は今後、他の市内小学校でも予定されているという。

校歌に出てくる「元気な心」を揮毫する書家の円谷風香さん

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