輪島港で漁船3隻焼く 機関室から火、けが人なし

黒煙と炎を上げて燃える漁船=8日午前9時半、輪島港

 8日午前9時14分ごろ、輪島市鳳至町下町の輪島港で、停泊中の刺し網漁船「勝英丸」(9.7トン)から出火、隣接して係留されていた漁船2隻を含む3隻を焼き、正午時点でおおむね消し止めた。けが人はいなかった。輪島港には石川県内で最も多い漁船約250隻が係留されており、炎と黒煙が立ちこめた現場は漁師や住民で一時騒然となった。

 複数の漁業関係者によると、出火当時、刺し網漁船の所有者である60代男性が船上で、エンジンを掛けて作業していた際に、機関室から火が上がった。風にあおられた火は、そばに係留中のともに4トン級の「こぎ刺し網」と「一本釣り」の漁船2隻に燃え移ったという。

 火が出た刺し網漁船は8日深夜に出漁予定で、60代男性は網を修理するなどしていた。輪島署や奥能登広域圏事務組合消防本部が出火原因を調べている。

  ●舳倉島から煙見えた

 真っ黒な煙が噴き上がり、炎が漁船をのみ込んだ。この日はしけで出漁を控えた漁師ら大勢の住民が心配そうに消火活動を見守った。漁師歴50年以上という男性(70)は「港の中でこんな大きい火事は初めてや」と声を震わせた。

 港から約50キロ沖合の舳倉島周辺で操業中の船からも黒煙が見えたといい、50代男性は「山よりも高く煙が上がっていた」と話した。

消火作業を見守る住民=輪島市鳳至町下町

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