庄川ゆず、強風の中収穫 秋の高温で色づき遅れ 11日からまつり

強風の中、庄川ゆずの収穫作業に追われる生産者=砺波市庄川町金屋

  ●クマ目撃も「取らないと間に合わない」

 富山県内で強風の影響がみられた6日、砺波市庄川町では特産の庄川ゆずの収穫が急ピッチで進められた。今年のユズは秋の高温の影響で色づきが例年に比べ1週間程度遅れており、関係者は11日に開幕する庄川ゆずまつりに間に合わせるため、短期集中で作業している。ユズ畑にはクマも出没しているが、生産者は「取らないと間に合わない」とクマと強風に注意を払いながら収穫を急いだ。

 金屋ゆず生産組合と市によると、今年の庄川ゆずは春先に雨が少なかった影響で大きさはやや小ぶりでLサイズ(約120グラム)が主流となる。強風による傷は少なく、品質はおおむね良好。収穫量は不作だった昨年から一転し、平年並みの6~8トン以上を見込む。

 ただ、秋になっても高温の日が続き、果皮が青色のままで色づきの遅さが懸念されていた。朝晩と日中の寒暖差が大きくなった1週間ほど前から急に黄色くなり、収穫時期を迎えた。

 このため、生産者は11月からようやく本格的な収穫に入れた。ところが今度は、数日前にユズ畑に体長約1メートルのクマが目撃された。組合では生産農家にクマに注意し、夕方は早めに作業を切り上げることを呼び掛けているという。

 強風の中で収穫作業を進めた東恭子さん(74)=砺波市庄川町金屋=は「これだけの量を短期間に取らないといけない。クマが出るからと言われても、取らないと間に合わない」と眉を寄せ、たわわに実ったユズを切ってかごに入れた。

 金屋ゆず生産組合の真田猛組合長(73)は「本来は強風の日は作業をしないが、(収穫が)追いつかなくて、まつりまでに取り切れないのではないか」とこぼした。

 庄川ゆずまつりは11、12日に砺波市の庄川水記念公園で開かれる。取れたての生ユズのほか、「ゆずもち」や「ゆずみそ」などの加工品を販売する。今年は飲食ブースを設置する。庄川峡湖上遊覧も行われる。チラシ持参の人は特別料金で乗船できる。実行委員会は「紅葉の時期と重なり、船上から見上げるパノラマは大好評」として来場を呼び掛けている。

 ★庄川ゆず 地元では金屋ゆずの名で古くから親しまれ、弘法大師が原種を広め、約600年前に瑞泉寺(南砺市井波)を開いた綽如上人(しゃくにょしょうにん)を敬い、住民が献上したと伝わる。「庄川嵐」と飛ばれる風や冬の寒さなどの影響で表面が粗く、凸凹が目立ち、果皮が厚く、香りが強いのが特徴で、砺波市のとなみブランドに認定されている。

© 株式会社北國新聞社