体育授業中の校庭に“突然”ニホンカモシカが…生徒は「パニックだった」 県は遭遇しても刺激せぬよう注意呼びかけ(浜松市西区)

11月4日と8日の2日にわたり、浜松市の田畑や住宅が並ぶ場所でニホンカモシカが目撃されました。県は遭遇しても刺激しないよう注意を呼びかけています。

8日、浜松市西区にある浜松大平台高校で目撃されたのは…体長 約1メートルの国の特別天然記念物ニホンカモシカです。体育の授業が行われていた校庭に、突然、ニホンカモシカが入ってきたといいます。けが人はいなかったということです。

(撮影した生徒)

「体育見学していたんですけど、急に現れて撮影しました。けっこう大きかった。みんなは校舎の方に逃げて、パニックだった」

ニホンカモシカは、4日前にも高校からわずか700メートルほどの場所で目撃されました。

(撮影した女性)

「あぶない あぶない、車道に出ちゃう」

道路を勢いよく走るニホンカモシカ。目撃した場所は、佐鳴湖にほど近い浜松市西区神ケ谷町。数百メートルの先の場所に住宅地があり、田畑が広がる地域です。

(川口 卓也 記者)

「目撃した方は、こちらの道路を 10年ほど ほぼ毎日散歩しているということですが、その日は、この道路の奥の方に初めてカモシカを見たということです」

私たちは目撃時間と同じ時間帯に取材しましたが、車や人通りはあまりありませんでした。すぐ後ろにある山から出てきたのでしょうか。映像からは、勢いよく走る様子もみられますが、基本的には落ち着いているように見えます。撮影した女性は、夫婦で日課の散歩中に遭遇し、大変驚いたといいます。

(撮影した女性)

「イタチ、野良ネコ、タヌキはたまに走っている、カモシカはない。少し距離があって最初は犬より大きいし、何かわからなかった。まさかカモシカがこの辺りにいるとは思わなかった。ゆっくり走って一番近くまで来たときは、見つめ合うようになって、その後ゆっくり、やぶの中に入っていった」

なぜ、住宅地も近い場所に突然現れたのでしょうか。野生動物の対策を担当する県の職員は、秋という時期的なものと生息数の回復が要因ではないかと指摘します。

(県 森林・林業研究センター 大橋正孝さん)

「10月から繁殖期で、同性間で縄張り争いがある。11月1日から県内は狩猟期間。犬や人に追われてというのも考えられる。カモシカは保護されてきたので頭数が回復したとか、分布域が広がっているというのは言える」

また、ニホンカモシカと遭遇した際に気を付けることは、刺激しないことだと話します。

(県 森林・林業研究センター 大橋 正孝さん)

「普段は攻撃性が高い動物ではないので安全。追い込まれると反撃する能力も持っている、カモシカはオスもメスも角を持っているので、不用意に近づきすぎることがないように。必要以上に動物を怖がってしまうと、ますます動物が人間側に攻め込む、それも避けるのが大事」

県の担当者は、ニホンカモシカのほか、クマやイノシシなどを目撃した際は各市町まで情報提供するよう呼びかけています。

(スタジオ解説)

国の特別天然記念物ニホンカモシカの目撃が相次いだのは、浜松市西区の市街地です。11月4日の午前11時40分ごろに、浜松市西区神ケ谷町で目撃され、8日午前11時50分ごろ、そこからわずか700メートルほど離れたところにある浜松大平台高校で目撃されました。

カモシカが“市街地”で目撃された理由について、野生動物の対策を担当する県の担当者は「ニホンカモシカは秋に繁殖期を迎え、同性間での縄張り争いをした可能性や、今月、シカやイノシシの狩猟が解禁されたことで山の中に入ってきた人や犬を避けておりてきてしまった可能性がある」と話しています。もし遭遇してしまったらニホンカモシカは「近づかなければ危険な動物ではない」として、刺激を与えることなく行政などに連絡してほしいと呼びかけています。

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