コロナ対策の雇用調整助成金、福井県内2社が不正受給 福井労働局公表、美容業マーシュが3000万円

 福井労働局は11月8日までに、新型コロナウイルス対策の雇用調整助成金(雇調金)について、美容業のマーシュ(本社福井市二の宮4丁目、増永浩昭社長)と、宿泊・飲食業の越前竹田村(本社坂井市丸岡町上竹田、奥村繁子社長)が不正受給していたと公表した。受給額はマーシュが約3千万円、越前竹田村が約300万円で、ともに全額返還した。

 雇調金は雇用保険に加入する従業員について事業主が休業や教育訓練を行って雇用を維持する場合、休業手当や賃金の一部が支給される。同労働局によると、マーシュは2020年6月~今年1月に、越前竹田村は20年6月~今年3月に、実際には勤務していた従業員を休業させたとする虚偽の申請を行い、総額でマーシュは3067万4807円、越前竹田村は303万414円を受給した。同労働局は2社の社名や不正受給の内容をホームページで11月2日までに公表した。

 福井新聞の取材に対し、越前竹田村の奥村社長は「申請した担当者に制度への理解不足があった。最終的には自分の責任であり、全額返還した」としている。マーシュは8日までの取材に応じていない。

 20~22年度の新型コロナ対策の雇調金を巡っては、雇用保険未加入者対象の「緊急雇用安定助成金」を含め支給決定の迅速性を優先し、審査を簡略化したことで全国的に不適切な支給が相次いで発覚。このため同労働局は「県内全事業所の申請について、改めて支給後の調査を実施している」とし、その調査過程で今回の2社の不正が分かった。

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 今後も返還に応じないなど悪質性が高いケースは刑事告発を含め対応する。本年度は9月末までに、ほかに2事業所の不正受給が判明したが「不正を自主申告し、一括で返還している」(同労働局)ことから、社名などを公表していない。

 県内の両助成金の支給決定件数は計約6万3千件で、総額約380億円に上る。同労働局は昨年度、1件の不正受給を発表した。

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