農家の24歳女性が挑戦、自然に優しい米作りを広めたい 福井県大野市で栽培面積の拡大目指す

収穫した無農薬米を前に、寄付を呼びかける高津胡桃さん=10月、福井県大野市上舌

 自然環境に優しい米の栽培への理解を広めたいと、福井県大野市の農家、高津胡桃さん(24)が、農薬や化学肥料を使わずに米を育て、農業体験会を開いている。栽培面積の拡大を目指しており、福井県に特化したクラウドファンディング(CF)サービス「ミラカナ」で草刈り機などの購入資金を募っている。

 農家に生まれた高津さんは物心ついた時から「虫やカエルなどの生き物がいるから自然が成り立っている。農業も自然の一部」と考えるようになった。一時は英国に留学しバレエを学んだが、「生まれ育った大野の土地が恋しい」と帰郷。実家の農業を手伝う中で、「農薬の多さに驚いた。近くで洗濯物を干している人や遊んでいる子どもを見て胸が痛んだ」という。

 昨年から屋号の「与右衛門」にちなんで「よえもん農家」と名乗り、自宅近くの800平方メートルほどの水田で米ぬかなどを発酵させた堆肥を使った稲作に取り組み始めた。今年5月~9月には、農業に興味を持つ人を対象に田植えや稲刈りなどができる体験会を開催。「農業体験を通じて田んぼの生き物と触れ合い、自然に優しい農業の必要性を感じてほしい」と語る。

 栽培面積の拡大を目指しているが「一番の悩みの種は除草」と高津さん。現在は手押し式の除草機や古くなった草刈り機で水田、あぜの手入れをしているが、田植え機に取り付けられる自動除草機や新しい草刈り機の導入を目指している。

 CFは大野市のふるさと納税型CF「ガバメントクラウドファンディング」を活用。自動除草機を買うのに必要な当初の目標額50万円は約1カ月で達成し、新しい草刈り機の購入資金を11月15日まで「ミラカナ」特設ページで募っている。農薬や化学肥料を使わずに栽培した米や、その米を使った餅つき体験会への参加券などを返礼にしている。

 ◇ミラカナとは 福井県に特化したクラウドファンディング(CF)サービス。県内でプロジェクトを始める人の資金調達を応援するプラットフォームとして福井新聞社、福井銀行、福邦銀行が連携。CFのレディーフォー、応援購入サービスのマクアケいずれかを通じて支援・購入を募る。累計支援額は2億円、プロジェクトの達成率は92%(数字は2023年9月末時点)。

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