佐世保の漁業支援サービス企業 JAXAの実証実験に協力 測定装置の精度向上へ

 漁業の操業支援サービスを手がけるスタートアップ企業、オーシャンソリューションテクノロジー(佐世保市)は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進める測定装置「超広帯域電波デジタル干渉計(SAMRAI)」の実証実験に協力する。SAMRAIは海水温などを高精度に観測可能で、同社はより高度な漁業予測情報を提供できるようになるとしている。
 SAMRAIは、観測の妨げになっていた他の電波の影響を受けずに、昼夜や天候を問わず海面塩分や水温、海上風速などの高精度なデータを取得できる。2026年度に打ち上げる人工衛星に搭載予定という。
 同社の漁業者支援サービス「トリトンの矛」は、衛星データや過去の操業記録を基に、人工知能(AI)を活用して最適な漁場などの予測情報を提供する。JAXA側に実験への協力を提案し、今月15、16両日に長崎県海域で実施する。
 SAMRAIを載せた航空機が五島灘などの上空で測定。船舶などでも海水面付近を測定し、双方のデータを比較することで精度を向上させる。県総合水産試験場や長崎大も協力し、同社が調整や取りまとめを担う。
 8日、県庁で会見した同社の水上陽介代表取締役は「国境離島を抱える長崎の漁業において、操業や衛星のデータを地域で蓄積することが新規就労者の助けとなり、島の水産業を守ることにつながる。JAXAと共により良いSAMRAIに育てたい」と話した。

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