自民政治資金に出どころ不明の収入 滋賀県連、伝票起票など怠る「ずさんで無責任」と専門家

滋賀県

 自民党滋賀県連が2019~21年の政治資金で、出どころ不明の収入が計約870万円あったとして政治資金収支報告書に追加計上する訂正をしていたことが、京都新聞社の取材で分かった。日常的な伝票起票や現金出納帳の作成をしていなかったといい、ずさんな会計管理が浮かび上がった。昨年には元事務局長による県連資金の横領問題が発覚しており、自民県連の「政治とカネ」に対する姿勢が厳しく問われそうだ。

 専門家は「あまりにも組織的にずさんで無責任な会計だ。収支報告書の訂正だけではなく、きちんと説明責任を果たすべき」と指摘する。

 県連によると、元事務局長の問題を受けた調査で不明な収入が明らかとなったが、この問題との関連については詳細が判明していないという。

 自民県連が訂正した収支報告書や滋賀県選挙管理委員会に提出した訂正願いによると、「その他の収入」欄に「不明差異」の名目で19年に109万3769円、20年に155万4402円、21年に604万131円を追加して記載した。

 収支報告書には「不明差異により一部を不明と訂正する。不明差異の原因が判明した際には再度訂正を行う」とも記していた。

 京都新聞社の取材に対して自民県連は書面で回答し、「従来日常的な伝票起票や現金出納帳の作成を行っておらず、会計上のあるべき残高と実際の現預金残高の整合性を確認できる状態になっていなかった」と不明な収入に気づかなかった理由を説明した。考えられる要因について「資料や関係者の記憶にないものは集計されていない」「元事務局長は横領して後日返金したものがあるとしているが、金額や時期が明らかでないため集計されていない」ことを挙げた。

 その上で、「かかる事態を招いたことに関しては、大変申し訳なく思っている」と謝罪。「会計処理に関しては、現在、外部監査を導入するなどしており、会計処理のさらなる改善に努めたい」とした。

 また、収支報告書では元事務局長による横領によって、19~21年で計2357万4480円の被害があったとして、支出の項目に「横領」として追加し、訂正した。

 横領問題を巡っては、自民県連が昨年11月、多額の現金を県連口座から不正に流用したとして、業務上横領容疑で元事務局長を県警に告訴している。

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