通訳官「捜査官との架け橋に」外国人関与の事件想定で研修会

研修では、通訳官(中央)が家宅捜索中の捜査員役(右)の説明などを逐次翻訳した(大津市御陵町・県警察学校)

 滋賀県警は10月30日、外国人が関与する事件事故で通訳を務める警察官「通訳官」の研修会を大津市の県警察学校で開いた。模擬の家宅捜索などを通じて通訳技術を向上させる狙い。他県警と合同で実施した。

 県警組織犯罪対策課によると、近年は屋内の取り調べだけでなく現場捜査でも通訳官が関わるケースが増えているという。

 研修は滋賀のほか、兵庫、奈良、和歌山、岐阜から通訳官18人が参加し、容疑者が外国人の万引事件が発生したとの想定で行った。警察学校にある模擬家屋で、捜査員役の警察官が捜索令状が出ていることを容疑者に説明すると、通訳官が翻訳。屋内を捜索中も捜査員や容疑者の説明を逐次訳した。話者の多い中国語とベトナム語に加え、滋賀に多いブラジル人に対応するため、ポルトガル語とスペイン語でも行われた。

 全国的にも珍しい研修という。4年前に通訳官に登録し、研修に参加した同課の下薗拳太巡査部長は「捜査官と被疑者の架け橋として細かいニュアンスも正確に伝えたい」と話した。

 県内には現在10言語に対応できる通訳官が33人在籍し、捜査に通訳が携わったのは今年9月末時点で1355時間と昨年同時期より17%増加した。同課の安土雅樹課長は「言葉を間違えば、被害者の人権を侵害したり、事案に疑義が生じうる。通訳は重要な任務だ」とする。

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