農家2年目の女性が育てる “幻のゴボウ” 猛暑に苦戦しながら加工品にも挑戦

広島・東広島市豊栄町のご当地野菜「吉原ごぼう」―。生産量が少なく、「幻のゴボウ」と呼ばれていす。このゴボウの栽培を、2022年から始めた女性農家がいます。2年目のことしは夏の猛暑に苦戦しながら加工品づくりにも取り組んでいます。

東広島市豊栄町吉原地区のゴボウ畑です。ゴボウの収穫は、重機で周りの土を掘ったあと、スコップや棒を使って掘り出します。

作業するのは、地元出身の 川崎理恵 さん(40)と父の 田中雅芳 さん(75)です。2人は22年からこの畑を借りて「吉原ごぼう」を作っています。

川崎理恵 さん
「まっすぐのもの、まあまあですね」

しかし、形の悪いものも…

田中雅芳 さん
「水分がないから、できるだけ水分をとるため、いっぱい根を出したんだろうと思うんですよ」

夏の猛暑や水不足の影響です。川崎さんは、「農業にとって天気が最大の敵で、難しいなってところを感じています」と話します。

しかし、新ためて分かったこともあります。

川崎理恵 さん
「味は変わらないですよね。香りと味ってところは、吉原ごぼうの魅力」

「幻のゴボウ」おいしさの秘密は光る土

実は、このゴボウ、市販の種で作りました。おいしさの秘密は光る土です。この土は吉原石と呼ばれる花崗閃緑岩(かこうせんりょくがん)が風化したものです。

しかし、この土があるのは地区内でも長さ1キロほどの範囲…。わずか10軒ほどの農家が作ってきたことから「幻のゴボウ」と呼ばれています。

川崎さんが畑を借りたのは、所有者が高齢でゴボウ栽培をやめたからです。川崎さんは今、4アールあまりで「吉原ごぼう」を栽培。町外にある自宅から毎日、車で畑に通っています。

実家に「天神原たなか」という会社を立ち上げ、ことしから加工品の製造も始めました。

川崎理恵 さん
「作り手不足っていうところで始めてはみたんですけど、食べた方がおいしいと言ってくださる声を直接、聞くことができて、よりがんばろうかなというふうに思っている」

川崎さんが作業しているのは、形の悪いゴボウを活用したゴボウ茶作りです。細く切ったゴボウを長さ1.5センチほどに切りそろえ、フライパンで30分ほど乾煎り(からいり)します。

川崎理恵 さん
「薬というふうに思って飲むのではなくて、おいしいから飲むというお茶にしたいなというふうに思っています」

川崎さんこだわりのゴボウ茶です。製造量が少ないこともあって、販売はすでに予約で一杯とのことです。このほか地域の農産物を使った加工品も作って産直市で販売しています。

川崎理恵 さん
「吉原ごぼうを毎年作っていけるようにしたい。地域の人と一緒に県内・県外に吉原をアピールしていけたらなと思っています」

農家2年目の秋を迎えた川崎さん。農業の難しさをあらためて感じながら地域おこしの夢をふくらませていました。

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