【エリザベス女王杯/全頭診断】想定8人気以下に「2.0.1.0」 ”前走は参考外”の穴馬候補

今週は京都競馬場で、第48回エリザベス女王杯(GI、芝2200m)が行われる。秋の女王決定戦に15頭の精鋭がエントリーをはたした。

ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬15頭の全頭診断を行う。

◆【エリザベス女王杯2023特集】予想に役立つ馬券攻略ガイド 出走予定馬、予想オッズ、過去10年データ・傾向、追い切りetc.

エリザベス女王杯2023 出走予定馬全頭診断

・アートハウス

きれいに好走→凡走→好走を繰り返す馬。前走中山牝馬Sは経験の浅い関東遠征かつ斤量57キロが堪えた印象だ。中2カ月以上の休み明けは【3.0.0.1】。主戦騎手の川田将雅がハーパーを選択したのは気がかりも、後方から脚を伸ばしたいタイプが揃った今年のメンバーにあって前に行ける機動力は見逃せない。

・イズジョーノキセキ

昨年のエリザベス女王杯以降は馬券外が続く馬。一変は容易ではなさそうだ。

・ククナ

中京より西の競馬場にはこれまで4度参戦しているが、いずれも馬券外。関西圏のGIでは厳しい印象だ。

・ゴールドエクリプス

3勝クラスを制した前走は2着と0秒1差。重賞の好走もハンデ戦に限定されており、さすがに敷居が高いか。

・サリエラ

1人気に支持された前走新潟記念はまさかの馬券外。中間に一頓挫あったとのことで、本来の状態ではなかったのだろう。コンディション次第で上位進出の可能性は考えたいところだが、今回は自身初の関西圏かつ右回り。姉サラキアは5歳夏を境に本格化をはたした馬でもあり、押さえ程度が妥当か。

・ジェラルディーナ

昨年のこのレース勝ち馬。当時はオールカマー勝利の勢いそのままに臨んだレースだったが、2走前の宝塚記念4着と合わせて芝2200mのパフォーマンスには目を見張るものがある。鞍上の動向が注目されていたが、当初の予定通りR.ムーアが騎乗。阪神芝外回りの西宮S勝利、鳴尾記念2着の内容から直線の長い京都芝外回りも歓迎だ。

・シンリョクカ

前走府中牝馬Sは10着と古馬との差を感じる内容。厳しい。

・ディヴィーナ

夏競馬ではあと一歩のレースが続いていたが、前走府中牝馬Sで待望の初重賞制覇。ヴィクトリアマイル4着をきっかけにメキメキと力をつけている1頭だ。とはいえ夏競馬を連戦したローテーションに加えて、今回は久しぶりの芝2200m。距離延長の前走が逃げる形になったことを考えると、さらなる距離延長は不安と言わざるを得ない。

・ハーパー

牝馬クラシック戦線は4→2→3着とすべて皆勤しつつ大崩れなし。安定感には目を見張るものがあるが、馬券内の近2走は4着馬とほとんど差がなく紙一重のところで着順が上がった印象を受けてしまう。リバティアイランド1強の3歳牝馬クラシック戦線。他馬のレベルに疑問が残るのは確かで、勝ち切るシーンは想像しにくい。

・ビッグリボン

前走京都大賞典は8着と案外な結果に。とはいえ当時は不得手な道悪にGI好走歴がある牡馬相手と厳しい条件が揃っていた。叩き2戦目の成績は【2.0.1.0】。冬競馬で4勝の実績から11月の気候はプラスに働きそうで、見限るには早計だ。

・ブレイディヴェーグ

デビューから毎レース上がり3F最速を記録する馬。前走ローズSものちの秋華賞2着馬マスクトディーヴァを上回る切れ味を披露しており、世代屈指の末脚を持つ馬と言えそうだ。課題を挙げるとすれば、未経験の芝2200m以上と出遅れ癖。ロードカナロア産駒の牝馬における芝2200m以上の馬券内馬はホウオウエミーズとアーモンドアイしかおらず、潜在能力を認めつつも差し損ねのリスクは伴う。

・マリアエレーナ

目下4戦連続掲示板内と安定した成績を残す馬。馬券内に届いてない点はネックも、牡馬相手に大崩れしなかったのは好印象と言えよう。ただ、クロフネ産駒は京都芝2200m重賞の成績が【0.0.0.13】。重賞で挙げた3連対が斤量55キロ以下だったことも含め、上位進出は至難の業か。

・ライラック

昨年のこのレース2着馬。当時は道悪が向いた印象を受けたが、良馬場かつ上がり3F33秒0で3着に食い込んだ前走は収穫ありと言える内容だった。今年は舞台が京都芝外回りだが、当レースはリピーターによる好走が目立つ。ヒモ穴のゾーンで押さえておきたい。

・ルージュエヴァイユ

エプソムC、府中牝馬Sと東京芝1800m重賞で連続好走。それ以前の好走も左回りで、陣営がその条件にこだわったローテーションを組んでいる意図がうかがえる。翻って、今回は自身初の関西圏かつ右回り。芝2200mの出走経験もなく、苦戦は免れられないか。

・ローゼライト

2度使われた重賞はいずれもフタ桁着順。強調材料は乏しい。

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UMAJIN.netより一部編集・転載(2023年11月9日 18:03公開の記事

著者プロフィール

田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家
競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。

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