砺波の獅子舞9割超復活 コロナで中止も伝統継ぐ 資料館調査、前年からほぼ倍増

4年ぶりの秋祭りで伝統の獅子舞を披露する会員=砺波市鷹栖のたかのす認定こども園

 砺波市内で今年の秋祭りの獅子舞がコロナ禍前に比べて9割超の集落で復活したことが9日、砺波郷土資料館の調査で分かった。2022年度に比べて倍増し、演舞する場所や時間を見直しながらほぼ復活。コロナ禍の20、21年度にほとんどの集落が中止して継承が危ぶまれたが、代々受け継がれてきた地域の伝統行事を守っている状況が浮き彫りとなった。

 同資料館によると、コロナ禍前の19年度に秋祭りで獅子舞を行った市内21地区の62団体のうち、23年度は21地区の57団体で獅子舞を披露し、実施率は92%だった。20、21年度は1団体(中野下村獅子方若連中)だけで、22年度は48%の30団体が再開した。

 実施した理由として「これ以上休止すると、伝統の技術が連綿と伝わっていかない」「周りの村が舞い始めたので、実施しやすくなった」などの声が聞かれた。

 東般若地区の防村では15年ぶりに獅子舞を復活させた。住民が体力がある今、地域に小学生が在籍するというタイミングで復活にこぎ着けた。

 各地では獅子舞を披露する場所を班長宅や慶事があった民家などに絞ったり、時間を短縮したりして演舞の場所や時間を見直す地域が多数に上った。

 各地で女児の参加が増え、笛や太鼓のほか、男児が担うケースが多かった獅子取りに女児も加わるケースが多く見られた。林地区林では女児が獅子取り7人のうち5人を占めた。

 コロナ対策では、若衆が一升瓶で酒を回し飲むことを控えるなど対策を徹底。子どもたちの稽古時間を短縮し、難しい演目や2人で行う演目を減らすなど児童や生徒に配慮する地域も多かった。

 一方、今年の実施を断念した5団体のうち、1団体は稽古だけ継続したが、小さな子どもに配慮して本番の演舞を見送った。若者の担い手が少なく、中止に追い込まれた地域もあった。

 調査は砺波郷土資料館の職員が祭礼当日に各神社を訪ね、実施状況や経過を調べた。脊戸高志副館長は「どの地区でも祭りの獅子舞が行われるのを楽しみにしており、多くの参観者を集め、大変にぎわった」と話した。

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