「輝」300万円 県産ズワイガニ初競り

第1号の「輝」に認定され、300万円で落札されたズワイガニ=9日午後7時32分、金沢市のかなざわ総合市場

  ●1匹認定、港沸く

 石川県沖で解禁されたカニ漁で9日、県内各漁港に初物のズワイガニが水揚げされた。初競りが金沢と加賀の市場で行われ、雄の「加能ガニ」の最高級ブランド「輝(かがやき)」は、金沢港で揚がった1匹が認定されて300万円の値が付いた。2021年の最高値(500万円)には及ばなかったものの、しけによる出漁延期で3日遅れとなった「冬の味覚の王様」の登場に港は沸いた。

 県漁協かなざわ総合市場(金沢市)と加賀支所(加賀市)で、各漁船が厳選したカニの最高価格を競う「蟹-1(かにわん)グランプリ」が行われた。

 今季第1号の「輝」は県漁協金沢支所所属の第七重福丸が水揚げした重さ1.52キロ、甲羅幅15.9センチの1匹。グランプリの最後に競りにかけられると、大物を一目見ようと仲買人や漁業関係者が競り場に集まり、市場は熱気に包まれた。300万円の値が付くと場内にどよめきが広がった。

 競り落としたのは県内で旅館2施設を営む百楽荘(能登町)で、金沢の旅館で料理長を務める桶谷純二さん(41)は「お客さんにどうしても味わってほしかった。競り落とせてほっとしている」と笑顔を見せた。10日から3日間、宿泊客に振る舞うという。

  ●輝姫最高7万円

 市場デビュー2年目となる雌の「コウバコガニ」の最高級品「輝姫(かがやきひめ)」は、金沢と加賀市の橋立漁港で3匹ずつが基準をクリアした。「姫―1(ひめわん)グランプリ」も初開催され、県漁協加賀支所所属の愛明丸が水揚げした甲羅幅9.9センチの1匹が最も高い7万円で落札された。北川智生船長(40)は「初代女王が取れて良かった」と喜んだ。

 今季の県内のズワイガニの漁獲枠は、資源量の回復などを受け、昨シーズンより76トン多い425トンに設定された。県漁協によると、9日に水揚げされた加能ガニは18.6トンで昨年の初日より1.4トン多く、コウバコガニは7.1トン増の53.5トンだった。初物は10日から県内の鮮魚店や料理店などで提供される。

 ★輝(かがやき) 石川県漁協が認定する県産ズワイガニの雄「加能ガニ」の最高級ブランド。▽重量1.5キロ以上▽甲羅幅14.5センチ以上▽全ての脚がそろっている▽甲羅が硬く、身入りが良い―などの基準がある。2021年の初競りで落札された500万円の1匹はギネス世界記録と同額だった。

 ★輝姫(かがやきひめ) 県漁協が昨年認定した県産ズワイガニの雌「コウバコガニ」の最高級ブランド。▽甲羅幅9.5センチ以上▽全ての脚がそろう▽傷がなく美しい▽資源管理への積極的な取り組みをする漁業者の水揚げ-などの基準が設けられた。昨季は61匹が水揚げされた。

今季初の出漁で水揚げされたズワイガニ=加賀市の橋立漁港

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