メインは地鶏めし、JR篠山口駅の駅弁10年ぶり復活 11日、「新デカンショ弁当」50個限定販売

1日限定で販売される「新デカンショ弁当」

 JR篠山口駅(兵庫県丹波篠山市大沢)の活性化イベントに合わせ、「駅弁」が11日、一日限定で約10年ぶりに復活する。かつての駅弁を参考に、「新デカンショ弁当」と銘打ち新たに企画した。特産の丹波黒大豆や地元の有機野菜のほか、鶏肉などを使った素朴な味わい。「評判が良ければ今後も提供したい」と関係者は期待する。(堀井正純)

 同駅前で催される「篠山口駅マルシェ」で午前10時から売り出す。1500円で50個限定。駅弁復活は、地元・杉自治会の井上尚和会長(55)が発案した。「田舎の祖母が作ってくれるような弁当をイメージした」という。弁当作りは、市内で鶏肉料理専門店を営む河南文子さん(73)に依頼した。

 同駅は1899(明治32)年開業。地元の鉄道に詳しい松本剛さんによると、駅弁登場は1907年。陸軍歩兵第70連隊の篠山誘致が決まり、利用客の急増を見込んでのことと推測されるという。

 かつては駅弁を製造販売する店がホームに隣接してあり、旅行者らはホーム側から購入。特急列車で食堂の売り子が立ち売りした時代もあった。当時の駅弁は山菜を使った「デカンショ弁当」や「猪のぼたんめし」など。だが、2011年に閉店し、駅弁も消えた。

 今回の「新デカンショ弁当」には、市内の農業グループ「篠山自然派」が有機野菜を提供。メインは丹波篠山で育った名古屋コーチンやゴボウ、ニンジンを使った地鶏めしで、サツマイモのてんぷら、黒豆煮、だし巻き卵などを添える。

 「ヘルシーで、優しく素朴な味」と弁当をこしらえた河南さん。派手さはないが、「予想以上においしい」と井上会長も太鼓判を押す。パッケージにはデカンショ祭の写真をあしらった。

 河南さんは、同駅改札横で市が運営するフリースペースで、毎週木曜に弁当などを売っており、「要望があれば、新デカンショ弁当も並べたい。ほかのイベントでも販売して名物になれば」と話している。

 「篠山口駅マルシェ」は駅周辺のにぎわい創出を目指した催しで、パンやジビエ料理などの27ブースが出店する。市地域計画課TEL079.552.1111

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